英国とロシアの関係が緊張の度を強めている。3月4日に英南西部ソールズベリーで、元二重スパイのロシア人男性とその娘が意識不明の状態で発見された。発見されたのはロシアと英国の二重スパイだったセルゲイ・スクリパリ氏(66)と娘のユリア氏(33)。ともに意識不明の重体で見つかった。ロイターによると英当局者は、「事件で使用された神経剤が1970─80年代に旧ソ連軍が開発した神経剤『ノビチョク』だった」と特定した。メイ首相は14日23人のロシア外交官に国外退去を要請することを議会で明らかにした。

これを受けてロシアのラブロフ外相は、15日、「事件を起こす動機はロシアにはなく、むしろその動機はEU=ヨーロッパ連合からの離脱交渉に対する国民の厳しい目をそらせたいイギリスにこそある」(NHK)と主張。ロシアに駐在のする英外交官23人を国外追放するとの報復措置を発表した。英ロの応酬は日に日に厳しくなっているが、波紋は欧米を巻き込んだ形で広がっている。英国、米国、ドイツ、フランスの4カ国首脳は15日「ロシアに責任がある可能性が高い」との共同声明を発表。化学兵器禁止機関(OPCW)への情報開示を求めた。

米朝首脳会談を模索する動きは北朝鮮をめぐる国際的な緊張緩和の動きだろうが、その一方でトランプ政権の鉄鋼とアルミを対象とした輸入関税の導入は中国、ECとの緊張激化を予想させる。トランプ大統領はまた台湾との閣僚や要人の往来を可能とする法案に署名して中国との緊張を高めている。イランが核合意を遵守しているかどうか、5月12日までに大統領は議会に報告する義務を負っている。解任したティラーソン国務長官の後任は保守強硬派のポンペオCIA長官である。国際情勢は緩和要因よりも緊張増加要因の方が多いといのが実態だ。国際情勢はきな臭くなりつつある。

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