• G20財務相・中央銀行総裁会議、2日間の日程を経て閉幕
  • 共同声明では保護貿易主義と闘うとの従来文言を削除
Steven Mnuchin, U.S. Treasury secretar
Photographer: Sarah Pabst/Bloomberg

ムニューシン米財務長官は貿易に関して他の20カ国・地域(G20)当局者に全く譲歩せず、自国の国益を守ることについて米国のメッセージは「はっきり」としていると述べた。アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議は20日に閉幕。ムニューシン長官に新しい金属関税を含む保護貿易主義的な措置の撤回を説得させる取り組みはほとんど成果が得られなかった。むしろ米国は各国を味方につける結果となった。参加国の多くは今回の会合で関税適用の除外を働き掛けた。

ムニューシン氏はG20会合後に記者団に対し、「米国は最大の貿易市場であり、今後もそうあり続けるだろう。この政権は米国が公平に扱われることに留意していく。これはG20が昨年も聞いたメッセージだと思うが、きょうも再度はっきりと聞いただろう」と語った。G20は2日間の会合後に公表した最終共同声明で、保護貿易主義や内向き政策と闘うとした従来使用の文言を削除。仮想通貨のリスクが高まりつつあると初めて強調した。

ドイツのショルツ財務相は記者団に対し「ブエノスアイレスでの協議すべてから判断すると、状況がエスカレートし、貿易戦争が将来を決定するのではないかと大半の人が強い懸念を抱いていると結論づけることは可能だ」と述べた。ただ、ムニューシン氏は貿易戦争を回避したいと考えており、保護貿易主義を目指していないと主張した。

同氏は「われわれは米国の利益のために自由で公平な互恵的貿易を守るため、行動する準備が必要だ。そうする上で、米国が関税を賦課すれば他国が報復するというリスクは常にある」と指摘。その上で「われわれは保護貿易主義を目指しているわけではない」と述べ、貿易戦争を「恐れていない」としながらも、それが米国が望んでいることではないとの考えをあらためて示した。

一方、フランスのルメール経済・財務相はG20会合後に記者団に対し、米輸入関税の適用除外に「条件があってはならない」と語った。鉄鋼の過剰生産能力に対応するために米国が行ったような一方的な決定は「不適切」だとし、「われわれはG20や世界貿易機構(WTO)など多国間の枠組みで正しい対策を決定すべきだと考えている」と述べた。

今回の会合では主要な経済動向やリスクに関して共通点を見いだすことを模索した。仮想通貨の台頭および監視の必要性に声明で言及。「仮想資産にはソブリン通貨の主要な特性が欠けている」とし、「ある時点でそれらは金融安定に影響する可能性がある」とした。