[ジュネーブ 22日 ロイター] – 中国の世界貿易機関(WTO)大使、張向晨氏は22日、米国の関税に対し幅広い方策を用意しているとし、保護主義に立ち向かう考えを表明した。同時に依然、米国との対話を期待しているとも述べた。

大使はロイターの取材に対し、米国の関税を巡り、WTOへの申し立てを検討中と説明。「これはわが国が有する正当な権利であるが、他の選択肢を排除するものではない」と語った。米国は鉄鋼・アルミニウム関税について、国家安全保障上の観点からWTOで問題にならないとの期待を抱いているとされる。これに対し大使は「米国の措置に本質的な国家安全保障上の論拠を見出す人はいない」「米高官でさえ、本当の理由を隠しきれていない」と述べた。

過去の判定で、米国がWTOの承認を得て措置を講じると約束しており、通商法301条に基づく課税を弁護することは難しいと予想した。大使は「貿易戦争の気配も漂うが、われわれはなお多国間貿易システムを重視している」と語った。為替操作を巡って米国がWTOに申し立てを行う可能性について、大使は、トランプ米大統領はすでに就任前からこの点に言及しており、議論する用意は整っていると述べた。

大使への取材後、トランプ氏は中国の知的財産権侵害を巡り、最大600億ドル規模の中国製品に対し関税を課すことを目指す大統領覚書に署名した。覚書を受け、米通商代表部(USTR)は関税対象となる中国製品の品目リストを作成する。その後、審査期間を設け、業界ロビイストや議員らに意見を求める。最終的な関税措置の実施はその後となる。