参院予算委員会の証人喚問で答弁する佐川宣寿前国税庁長官=27日午前、国会内

佐川宣寿前国税庁長官を証人喚問した27日の衆参両院予算委員会の質疑詳報は次の通り。

【図解】森友問題をめぐる構図

 【参院】
金子原二郎委員長 決裁文書の書き換えを知っていたか。誰が、どのような動機で、いつ指示したのか。
佐川氏 私は現在、捜査を受けている身だ。刑事訴追を受ける恐れがあるので、答弁を差し控えたい。
金子氏 責任をどう感じているか。
佐川氏 国会で大きな混乱を招き、行政の信頼を揺るがす事態となったことは、誠に申し訳ない。当時の担当局長として責任は私にある。深くおわびしたい。
金子氏 書き換えに関し、財務省幹部や政治家らの関与はなかったのか。
佐川氏 本件は理財局の個別案件だ。理財局の中で対応する。例えば、財務省の官房部局に報告、相談するとか、首相官邸に報告するとか、そういうことはない。官邸などからの指示もない。
金子氏 財務省では従来、決裁文書の書き換えなどが行われていたのではないか。
佐川氏 それ(公表された14件)以外の決裁文書の取り扱いについて、私は承知していない。
丸川珠代氏(自民) 理財局の内部で書き換えが行われたと認めるか。
佐川氏 理財局の中で行われたと考えている。
丸川氏 安倍晋三首相の指示はなかったか。
佐川氏 ない。
丸川氏 首相夫人の指示もなかったか。
佐川氏 ない。
丸川氏 官房長官、官房副長官、首相秘書官の指示はあったか。
佐川氏 ない。
丸川氏 官邸の指示はなかったということで間違いないか。
佐川氏 間違いない。
丸川氏 麻生太郎財務相の指示はあったか。
佐川氏 ない。
丸川氏 財務省の事務次官、官房長などの指示はあったか。
佐川氏 ない。
丸川氏 自身の答弁を振り返り、誤解を与えるものだったと思うか。
佐川氏 私自身の答弁は今でも正しかったと考えているが、今思えば、国会対応に丁寧さを欠いていたのは間違いない。大変申し訳ない。
丸川氏 答弁を変更することもできたはずだ。
佐川氏 当時の局内は私も含め、毎日質問をもらう中、余裕がなかったのが実態で、申し訳ない。
丸川氏 首相や首相夫人が関わっていたかは国民の関心事だ。
佐川氏 首相や首相夫人の影響があったと私は全く考えていない。
丸川氏 (国有地取引で)何らかの圧力を受け、判断を変更したという経緯は確認できたか。
佐川氏 そういうことはない。
丸川氏 書き換え前の文書の中に出てくる特例的、特殊性という言葉は、政治の関与を意味しているのではないか。
佐川氏 そうではない。
小川敏夫氏(民進) 官邸の指示はないという話だが、協議や連絡、打ち合わせはどうか。
佐川氏 そういうものはなかった。
小川氏 首相答弁(の作成)は、担当部局も打ち合わせに加わるのではないか。
佐川氏 本件、極めて実務的な案件だったので、基本的には私の答弁を少し簡略化したものを首相ら(の答弁)に入れた。
小川氏 首相は「自分や妻が関係したとなれば首相を辞める」と答弁した。これが自身の答弁に影響したか。
佐川氏 首相答弁の前と後で私自身が答弁を変えたという意識はない。
横山信一氏(公明) 政治家などからの不当な働き掛けはないか。
佐川氏 不当な働き掛けはなかった。
小池晃氏(共産) あなたの昨年2~3月の答弁は、改ざん前の文書に基づく答弁か。
佐川氏 刑事訴追の恐れがあるので答えを控えたい。
小池氏 昨年4月に改ざんしたということは、財務省が認めている。だから同年2~3月はまだ改ざんされていない。
佐川氏 書き換えられた決裁文書をいつ私が認識したかということに直結する問題だ。答弁を控えたい。
小池氏 (首相夫人の)昭恵氏の名前が当時の決裁文書に何度も出てくる。どう受け止めたか。
佐川氏 まさに書き換えが行われた決裁文書に関わる問題だ。答弁を控えたい。
浅田均氏(維新) 昨年、改ざん作業の真っただ中に会計検査院の検査が始まった。その時、どういう文書を提出したか記憶はあるか。
佐川氏 求めに応じて(文書を)出して、と(担当部署に)答えた覚えがある。
森裕子氏(自由) 首相夫人は関与していないとなぜ断言できるのか。
佐川氏 法令に基づいてきちんと契約していると確認しているので、そう申し上げている。
森氏 森友問題について今井尚哉首相秘書官と話したことはないのか。
佐川氏 話したことはない。
福山哲郎氏(立憲) 理財局で改ざんしたなら、その中の1人として関わったということか。
佐川氏 誰がどう関与したかは、私も含めて今、捜査の対象になっている。
福山氏 改ざんの経緯について全く答えないのに、なぜ首相官邸の関与だけは明確に否定するのか。
佐川氏 私が理財局長の間、官邸などから指示はなかったので、そう答えている。
薬師寺道代氏(無所属) 「書き換え」との説明だが、一部の議員は「改ざん」と受け止めている。
佐川氏 私も今、書き換えと答弁しているが、改ざんではないかと言われれば、本当に重く受け止めなければいけない。
【衆院】
河村建夫委員長 決裁文書の書き換えの経緯や理由、自身の関与は。
佐川氏 私自身、刑事訴追の恐れがあり、答弁は控えたい。
石田真敏氏(自民) 首相、首相夫人、首相秘書官、官房長官らの指示を明快に否定したのは、間違いないか。
佐川氏 間違いない。
石田氏 首相夫人付職員だった谷査恵子氏と、理財局の関係者とのやりとりは1回だけなのか、何度もあったのか。
佐川氏 1回限りという理解だ。
石田氏 森友問題では、国有地が8億円も安く売却されたことについて、国民の疑念がある。
佐川氏 不動産鑑定の価格から、国土交通省大阪航空局が(ごみの処理費用として)出した8.2億円を引いた金額が売り払い価格だった。
石田氏 ごみの処理費用は適切だったか。
佐川氏 大阪航空局がきちんと算定した。
石田氏 新たなごみという想定外の課題に直面し、現場が苦労したことはよく分かる。
佐川氏 大変難しい案件だったと思う。担当職員は、大変工夫し、苦労しながら、ぎりぎりの対応をしていたということが私の理解だ。
竹内譲氏(公明) 今回の問題に関連し、近畿財務局の職員が自殺している。この方は本省と実務的なやりとりをしていたと言われている。
佐川氏 もし仮に決裁文書の書き換えにつながるということであれば、本当に申し訳ない。
竹内氏 政治家などの名前を決裁文書に書くことがどこまで必要かよく分からないと答弁しているが。
佐川氏 政治の話を書くことが契約の経緯としてはどうか、ということを一般論として申し上げた。
逢坂誠二氏(立憲) 昨年2月に菅義偉官房長官へ説明した時、何らかの指示はなかったということか。
佐川氏 指示はなかった。
逢坂氏 きょうの答弁に当たり、事前に与党と擦り合わせはあったか。
佐川氏 私が与党の方と話をしたことはない。
逢坂氏 貸し付けや売買などのプロセスについては、おわびすることはないという理解か。
佐川氏 私は貸し付けも売却も適正に行われたと今でも考えている。
逢坂氏 前任の(理財局長だった)迫田英典氏から、いつどこで引き継ぎを受けたのか。
佐川氏 本件について迫田氏から一切引き継ぎを受けていない。
今井雅人氏(希望) 直接指示がなかったとしても、忖度(そんたく)して間接的な影響で改ざんしたことは否定できない。
佐川氏 忖度という話は、個々の内面の話なので、私が特定のことを言うことはできない。
今井氏 首相夫人ということを意識したかどうか、取引に関わった(理財局)職員全員に聞き取りをしたか。
佐川氏 していない。
今井氏 首相の「私や妻が関係したら辞める」という答弁を聞いてびっくりしなかったか。
佐川氏 首相はそういう政治的な思いで言っていると感じた。
江田憲司氏(無所属の会) この改ざん問題に一切どなたも関わっていないと断言するのは、あなたが関与していると自白しているのと同じだ。
佐川氏 私は理財局長として、官邸なり大臣から指示があったとすれば、必ず私のところに報告が上がってくる。
宮本岳志氏(共産) 昨年2月の衆院予算委で、面会記録は廃棄したとの答弁は虚偽答弁か。
佐川氏 本当に丁寧さを欠いた。申し訳ない。
宮本氏 虚偽答弁を認めるか。
佐川氏 虚偽という認識はその時はなかった。
丸山穂高氏(維新) 国民が知りたい真相について解明できたと思うか。
佐川氏 実際にどういう経緯で、誰がやったのかということについては答えられていない。そこについては満足できていないと思う。
丸山氏 解明できていないと自身が思っているのか。
佐川氏 どういう経緯で、誰がどう具体的に指示したかという点については答えていない。それはまさに司法のところになる。