シリアで政府軍が化学兵器を使ったとの疑いが出ている。テレビでも子供達が化学兵器とみられる薬物の犠牲になった姿が放映されている。核兵器の使用と一緒で絶対に使ってはならない兵器である。アサド政権側は即座に「でっち上げ」と使用の事実を否定している。いつものことだ。化学兵器が使われたという事実は隠しようがない。だが、誰が使ったかは恐らく永遠に解明されないだろう。そして一方的な糾弾と責任論の押し付けあいが続く。英国で起きた元スパイに対する殺人未遂事件のように、シリア及びシリアを支援しているロシアのプーチン氏に西側の避難が集中する。
今回もトランプ大統領がきょうか、あすにもシリアに対する報復攻撃を実施そうだ。同大統領を昨日「身の毛のよだつような攻撃だ」(朝日新聞デジタル)と化学兵器使用を強く非難した。そして「残虐行為を許してはならず、米国の力で止めることができる」(同)と強調。「誰に責任があるか非常に明確になってきている」(同)とも述べている。トランプ氏は化学兵器の使用が疑われているダマスカス近郊が、「アサド政権軍によって包囲されていることから、同軍による使用」と断定している。その一方で、「(プーチン氏が)関わっているかもしれない。その場合、非常に厳しいことになる。誰もが代償を払うことになる」(同)と警告した。
トランプ政権は昨年4月、アサド政権が化学兵器を使用したと断定、この時同大統領は「(シリアは)一線を越えた」と宣言、アサド政権の空軍基地に巡航ミサイル59発を打ち込み、戦闘機などを破壊した。考えてみればこの攻撃が北朝鮮の金正恩委員長にトランプ大統領の“凄み”を認識させた。そのあといろいろな経緯があったものの、この攻撃が平昌オリンピックを契機とした北朝鮮の“ほほえみ外交”につながったような気がする。とはいえ米政権はかつてイラクの核開発を理由にサダム政権の打倒に動いた。イラクに核兵器が存在しないことがその後明らかになっている。米国が必ずしも正しいわけではない。だが、個人的には国家の崩壊を招いたアサド政権に政権継続の正当性はないと思う、その政権を擁護し続けるプーチン大統領は“不関与”の証明ぐらいはすべきだと思う。