フェイスブック(FB)のザッカーバーグCEOが昨日、米議会で証言した。議会で証言するのは初めてだという。NHKによると同氏は証言の冒頭「フェイスブックは理想的で前向きな会社だ。しかし、みずからの責任への認識が甘く、誤りを犯した。申し訳ない」と謝罪した。8700人分の個人情報が民間企業に漏れ、それを使ってEC離脱を巡って行われた英国の国民投票や米国の大統領選挙に利用されていたことに対する謝罪だ。普段ほとんど公の席に顔を見せないザッカーバーグCEO。登場する時はTシャツ1枚だが、この日は背広姿にネクタイとこの人には似合わない格好をしていた。彼もまた世間の常識という軍門に下ったのかもしれない。
FBは3月、米ニューヨーク・タイムズと英オブザーバーが、「FB利用者の個人データが不正に第三者のデータ分析会社に流出」と報じたことから、社会的に大きな批判を浴びてきた。この日ザッカーバーグCEOは過去の過ちを率直に認めて冒頭のような謝罪をおこなった。その上で今後の再発防止対策として、大量に人を雇って偽アカウントの調査を行うことや、人工知能を使ってフェイクニュースの排除に取り組むことなどを明らかにした。個人情報の漏洩にかかわったのがケンブリッジ・アナリティカというコンサル会社だったこともFBに対する世間の怒りを倍加させたのだろう。この会社の創設者にはトランプ大統領の補佐官だったかのバノン主席戦略補佐官が絡んでいた。その会社がトランプ大統領を支援し、その裏にFBがいたという構図だ。
FBと同様にアマゾンにも批判が集まっている。もっともこちらは世間からの批判というよりは、トランプ大統領が激しく攻撃していることで注目されている。なぜ同大統領がアマゾンを批判するのか、その理由ははっきりしない。11月の中間選挙に向けて中小企業の支援を得るためにEコマースの巨人であるアマゾンを攻撃しているといった見方や、CEOのベゾス氏がトランプ大統領に批判的なワシントンポストのオーナーであることなどを指摘する向きがる。個人的には両社とも消費者を取り込みながらその消費をないがしろにして巨大化し、同業の企業を排斥し中小企業や弱小企業に大きな打撃を与えている。ここに批判の原点があるのではないかと思っている。要するに消費者は一方で生産者でもあり、アマゾンが排除した企業の関係者でもある。そんな中で一人勝ちは許されなくなっているということだろう。