米英仏の3カ国が13日にシリアの化学兵器施設に軍事攻撃を行った。シリア政府軍が毒ガスヲ使用に関係しているとの判断から、アサド政権に対するけん制を目的としたものだ。メディアの情報を総合すると連合軍はシリアに対して105発のミサイルを発射、ことごとく命中させたと米国軍は発表した。攻撃対象は化学兵器工場など3カ所。これに対してシリア政府軍はミサイルを何発か撃破したとしているが、事実かどうか不明。今回の攻撃に対してトランプ大統領は直前になってかなり躊躇しているように見えた。これに対してフランスのマクロン大統領は今朝、米英仏によるシリアへの軍事攻撃に関してトランプ米大統領に敢行するよう「フランスが説得した」(時事ドットコム)と語っている。
今回の軍事攻撃で意外だったのはフランスのマクロン大統領が積極的な役割を果たしたことだ。英国のメイ首相がこれまでの経緯からみて米国と共同歩調をとることに意外感はない。半面、マクロン大統領が米英とともに攻撃に参加することには、個人的に意外感があった。メディアの情報を調べ見ると、「マクロン大統領は昨年5月の就任直後から、化学兵器使用を『超えてはならない一線(レッドライン)』として、使用されれば『報復措置』をとる方針を明確にしてきた」(毎日新聞)とある。言ってみれば一つの公約でもあり、言行一致、自らの主張に沿って攻撃に参加した、ということのようだ。知らなかったのは己ばかり、マクロン大統領は政治家として筋を通したということになる。
それ以上に、軍事攻撃を仕掛けるべきだとトランプ大統領を説得したというから、こちらの方が相当に意外感がある。確かマクロン氏は昨年の大統領選挙の時に保守中道派を代表していたように思う。その大統領が化学兵器の使用に毅然と対応したということが、戦争を放棄した日本から見ていると意外に見えてします。例えば日本で保守穏健派を代表するとみられる石破氏が首相になった時に、マクロン氏のような対応をとることは可能だろうか。憲法で武力行使が禁止されている以上、そんなことを考える政治家が仮にいたとしても、保守党の中でも少数派だろう。中東やヨーロッパとは事情が違うと言えばそれまでだが、国際社会で発言する以上そのくらいのことを考えるのは当たり前のような気もする。マスコミ論調が軒並み平和ボケしていた事実とともに、大いに気になった点だ。