• 武田薬の提案をシャイアー拒否、現金と株式で1株46.5ポンド
  • アラガンはシャイアー買収案を提示しないと表明

米製薬会社のアラガンは、バイオ医薬品メーカーのシャイアーに買収案を提示しないと表明した。同社はほんの数時間前、買収案を検討していると明らかにしていた。

アラガンは19日午後、シャイアー買収を追求するのではなく、「事業売却や統合、買収など株主価値を生み出す戦略的な行動の可能性について、幅広い選択肢を検討するプロセスは続ける」と表明した。同社の株価は、買収案の検討を明らかにした後、一時8.5%安となっていた。

シャイアーはすでに武田薬品工業から提示された約600億ドル(約6兆4400億円)規模の買収案を拒否したが、協議は継続している。

武田が提示して拒否された案は、現金と株式を合わせて1株当たり46.50ポンド(約7110円)。シャイアーは武田からの提案について、「当社の価値と成長見通し、新薬のパイプラインを著しく過小評価している」と取締役会とアドバイザーが判断したが、協議を続けることには前向きだと表明した。

武田が自社より時価総額の大きいシャイアーを買収するためには、大規模な増資が必要になる。12日に提示した1株当たり46.5ポンドの買収案は、その62%を武田の新株で支払う内容だった。

武田はクリストフ・ウェバー最高経営責任者(CEO)の下、買収意欲を高めてきた。特許切れや国内の人口減少に対応しようと、海外展開に活路を求めている。シャイアーを買収すれば消化器疾患や神経障害などの治療薬で新たな資産を獲得できるほか、治験の後期段階にある新薬も手に入る。

企業買収に関する英国の規制に基づき、武田は25日までに正式案を提示するか、買収を断念するか明らかにしなければならない。武田はシャイアーとの交渉結果にかかわらず、「ポートフォリオ拡大とパイプライン強化、利益率向上に向け、会社としての進化を続けていく良好な軌道」を維持していると表明。発表文では「武田と取締役会は、提案を行う場合の条件については節度を守ることをあらためて約束する」とし、敵対的買収は目指さない考えを示唆した。

武田の提示額は3月27日のシャイアー株終値に51%上乗せした水準。武田はその翌日にシャイアー買収を検討している事実を認めていた。19日のロンドン市場でシャイアー株は一時12%高となった。

原題:Allergan Says It Won’t Make Bid for Shire, Ending Brief Drama(抜粋)