アメリカを訪れているフランスのマクロン大統領は、トランプ大統領と首脳会談を行い、アメリカが離脱する構えを見せているイランの核合意について、現在の合意を強化する新たな提案を行いましたが、トランプ大統領は明確な立場を示さず、合意を見直す期限にあたる来月に向けて交渉が続くことになりました。

マクロン大統領はトランプ大統領の最初の国賓としてワシントンを公式訪問していて、24日、トランプ大統領と首脳会談を行いました。会談のあと、記者会見した両首脳は、化学兵器が使用された疑いがもたれているシリアに合同で軍事攻撃を行うなど、米仏の関係の重要性を強調しました。そのうえで、マクロン大統領は、アメリカが離脱する構えを見せているイランとの核合意について、イランの核兵器とともに弾道ミサイルの開発も抑止し、中東での影響力を封じ込めることを目指した、新たな合意をまとめることをアメリカに提案したと明らかにしました。

マクロン大統領は「提案は核合意に対するアメリカ側の懸念や批判に応えるものだ」と述べ、アメリカの理解を求めていく考えを示しました。これに対して、トランプ大統領は「合意を見直す期限にあたる来月12日にどのような決定を下すか、わからない」と述べ、明確な立場を示しませんでした。マクロン大統領としては、トランプ大統領との良好な関係をてこに、ヨーロッパの安全保障に関わるイランの核合意の存続に向けて説得にあたったものの、最終的な合意には至らず、交渉が続くことになりました。

イラン核合意を強く非難

トランプ大統領は24日、マクロン大統領との会談の冒頭、記者団からイランの核合意について問われると、「ひどい合意で最悪のものだ。そもそも作られるべきではなかった」と述べ、核合意に欠陥があるという考えを改めて示しました。さらにイランについて、「中東ではシリアやイエメンのように問題があるところには必ずイランが背後にいる」と強く非難しました。

アメリカが核合意から離脱すればイランが核開発を加速させる構えを見せていることについて、トランプ大統領は「仮にイランが核開発を再開すれば、これまでにない大きな問題を抱えることになる」と述べ、イランを強くけん制しました。