[24日 ロイター] – 米金融・債券市場では、指標10年債利回りUS10YT=RRが上昇し、約4年ぶりに3%を突破した。インフレ上昇や国債発行拡大への警戒感から、債券売りが膨らんでいる。市場関係者のコメントは以下のとおり。
●FRB利上げ継続で一段上昇の公算
<キャンター・フィツジェラルド(ニューヨーク)の金利ストラテジスト、ジャスティン・レデラー氏>待ちに待った水準だった。世界的な市場で大きな節目となる。心理的にも重要な水準だ。米連邦準備理事会(FRB)が利上げを継続する中、一段と上昇すると確信する論拠はある。原油などのコモディティー(商品)価格が上昇して物価上昇が予想され、今後の国債増発の規模も注目されている。米政府は将来的に多額の赤字に対応していく必要があるため、財務省が来週、国債入札日程の変更を発表するかが注目されている。
●心理的な水準にすぎず、短期急伸なら懸念
<ブルダーマン・アセット・マネジメントの副会長兼首席市場ストラテジスト、オリバー・パーシェ氏>米10年債利回りの3%とは心理的な水準でしかない。利回り2.9%と3.1%による影響には大差ないが、市場では株式相場に圧力をかける新たな節目とみなしているようだ。重要なことは上昇ペースであって、利回りが到達する特定の水準ではない。われわれは、10年債利回りが年末までに3.25%に到達すると予想している。利回りが今後7カ月をかけて段階的に3.25%に上昇することは問題視していないが、例えば2カ月間で3.25%に急伸し、その後横ばいになるような状況となれば懸念する。株式相場は過去9年、低金利や緩和的な金融政策、過剰流動性を手掛かりに上昇してきたが、ここに来て債券利回りの上昇と米連邦準備理事会(FRB)による引き締めによって、押し上げ効果一部が排除されつつある。現時点では、海外での経済成長や堅調な企業利益がこうした圧迫要因を相殺しているが、双方の力の綱引き状態となっている。
●当然の成り行き、リスク再配分の可能性
<コモンウエルス・フォーリン・エクスチェンジ(ワシントン)の首席市場アナリスト、オマー・エシナー氏>前日の取引では終日、10年債利回りは3%に迫る水準で推移していた。このため(この日にこの水準を突破したことは)当然の成り行きで、特段驚くべきことではない。重要なのはこの日の取引、および今週の取引をどの水準で終えるかだ。10年債利回りが週間で3%を超える水準を保てれば、たった1日の取引でこの水準を超えたことよりも大きな意味を持つ。市場は冷静に反応しているもようで、株式相場もドル相場も大きく動いていない。投資家は各自それぞれの指標を持っているが、利回りが上昇する中、10年債利回りの3%台乗せは1つの大きな節目となる。このため、投資家は資本配分の見直しを迫られるだろう。こうした動きがリスクの再配分につながる可能性がある。