記者団の質問に答える立憲民主党の辻元清美国対委員長=国会内で2018年5月2日午前10時39分、川田雅浩撮影

 立憲民主党など野党6党は2日、連休明けに国会審議に復帰する検討を始めた。加計学園の獣医学部新設を巡り、柳瀬唯夫元首相秘書官が学園関係者と首相官邸で会ったと認める意向を固めたとの報道を受け、野党間の調整を始めた。野党6党は柳瀬氏を衆参両院の予算委員会で証人喚問するよう求めていたが、与党が主張する参考人招致でも応じる方向だ。国会欠席への批判が強まる中、報道を機に戦術転換を図っている。

 立憲の辻元清美国対委員長は2日、柳瀬氏について「一番いいのは証人喚問だが、早く追及したいという気持ちもある。どこで折り合えるか他の野党と相談したい」と述べ、参考人でも容認する考えを示唆した。国会内で記者団に語った。

 その上で辻元氏は「いち学校の関係者とか、県や市の担当者レベルでは首相秘書官とは普通は会えない」と指摘。「(柳瀬氏と加計側が会ったとされる)3年前から加計ありきのシナリオが作られていたのではないか。安倍晋三首相の関与も含め疑惑は深まった」と語気を強めた。

 柳瀬氏招致は来週にも実現する可能性がある。国会が正常化し、安倍政権が最重要と位置付ける働き方改革関連法案の審議が進みやすくなる。一方で野党の追及も再開され、政権の苦境も深まりそうだ。

 野党6党は4月20日から審議に応じていない。前財務事務次官のセクハラ疑惑への対応に財務省が失敗したのを機に、麻生太郎副総理兼財務相の辞任や柳瀬氏喚問、予算委の複数回開催などを野党が要求。政権側には高すぎるハードルで、国会空転が続いていた。与党内では「どう起きる(審議復帰)か考えてから寝て(欠席)ほしい」(自民関係者)と冷ややかな空気も流れていた。

 連休に入り、世論の批判を懸念した野党内で「そろそろ起きた方がいい」(民進党幹部)との声も表面化。2日の報道を受け、審議復帰の検討が始まった。辻元氏は「今までは『対話のための圧力』だった。いろいろあったが粘って良かった」と記者団に語った。

 辻元氏はその後、自民党の森山裕国対委員長に電話し、働き方法案への立憲の対案を衆院本会議で質疑するよう求めた。政府案が野党6党欠席のまま審議入りしたためだ。森山氏は「与党は立憲案の質疑を求めていない」と難色を示す。審議復帰を巡る条件闘争はなお続きそうだ。【立野将弘、村尾哲】