べネズエラのマドゥロ大統領が再選を果たした。トランプ米大統領は早速、ベネズエラ政府による資金調達を制限する大統領令に署名した。米国だけではない。欧米諸国はこぞってマドゥロ大統領の再選を認めていない。独裁者による管理された大統領選挙、野党が投票を拒否する中で現職が勝つのは当然だろう。だが再選を果たしたとはいえ、国民や国際社会から信任されたわけではない。むしろこれによって国内の混乱はさらに加速するだろう。反米主義を貫き、徹底的に米国と敵対したチャベス大統領。その後を受け継いでマドゥロ政権の政策にほとんど変化はない。インフレは加速し、独裁的な政権運営が加速するばかりだ。
原油価格が急落したあとベネズエラの経済は混乱に拍車がかかった。大統領がマドゥロ氏に変わっても政権の性格は変わらない。チャベス時代から弱者に手厚く税金を投入した。その面では世界中でも飛び抜けてリベラルな国である。しかし、人気取り政策を兼ねた弱者救済で赤字国債の発行は急増し、財政が完全に破綻した。それでも政策は変わらない。米国を敵視し、国際的に支援もままならい状態に陥った。そこに追い討ちをかけたのが原油価格の急落だ。国際通貨基金(IMF)によると、今年ベネズエラのインフレ率は1万3000%超と予想されている。これは国家がすでに破綻しているようなものだ。それでもあの手この手を使って政権にしがみつくマドゥロ氏。何かが変だ。
考えてみればシリアや北朝鮮など、国際社会に目を背けて独裁色を強める国々はどこもかしこも経済状態は異常だ。国民に寄り添うふりをしながら権力者が私服を肥やしている。例外は中国か。一党独裁の習近平政権は憲法改正までして習政権の長期化を目指している。ベネズエラやシリアと比較したら中国の人々に怒られるかもしれない。だが、ベネズエラの最近の歴史をみれば独裁政権は国民を弾圧しようが搾取しようが、倒れないということがわかる。倒れない半面で独裁化がどんどん進む。中国は継続する政権として独裁化の例外でいられるのだろうか。マドゥロ大統領の再選のニュースみて連想が中国や北朝鮮に飛んだ。個人的にはどちらも異常な国のように見える。