Men walk in the business district of Milan, Italy.、Photographer: GIUSEPPE ARESU

「60年以上にわたり、平和と和解、民主主義、そして人権尊重に貢献してきた」として、2012年にノーベル平和賞を受賞した欧州連合(EU)。そのEUに「存続の危機」が差し迫っていると著名投資家のジョージ・ソロス氏は警告しました。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

イタリアン・ホラー

「次の大規模な金融危機に向かっているのかもしれない」とソロス氏は危惧している。政治混迷の中で、10年物イタリア債とドイツ債のスプレッドは5年ぶりの幅に拡大。不安は世界に広がり、米国では国債相場が急伸、原油は下げ、円が上昇。ダウ工業株30種平均の下げは一時、500ドルを超えた。オークブルック・インベストメンツのピーター・ジャンコブスキス氏によれば、「米国の利上げペース減速につながるかもしれない」との見方が出てきている。

テンション

トランプ米政権は中国からの輸入品500億ドル(約5兆4500億円)相当に関税を賦課するタイムラインを明らかにした。重要な技術への中国投資を制限する方針も示唆。これに対し中国商務省は、米国の発表は予期していなかったとしつつ、中国として自国の利益を守ることは可能だと自信を表明した。ホワイトハウスの声明はこのほか、知的財産を巡る中国の慣行に対し米国が世界貿易機関(WTO)に提訴した訴訟を継続する方針も示した。ロス米商務長官は6月2日から北京で、中国側との交渉にあたる。

水面下

米朝間の交渉はすでに始まっていると、ブルッキングス研究所のマイケル・オハンロン氏は指摘する。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長はトランプ米大統領との首脳会談について米国側と協議するため、側近の金英哲党副委員長を米国に派遣した。聯合ニュースによると、金英哲氏はポンペオ米国務長官と会談する。安倍晋三首相は6月7日にワシントンでトランプ大統領と会談し、米朝会談を控えた最後の意見すりあわせを図る。

ネバーランド

「飛べるかどうかを疑った瞬間に永遠に飛べなくなってしまう」。3年前にピーターパンを引用して金融政策の有用性を説いた日本銀行の黒田東彦総裁が30日、同じ日銀金融研究所主催の国際会議であいさつする。今のところ、物価上昇2%への道筋は不透明なままだ。どんなに信じても人は空を飛べない。そんな現実に直面している。日本経済は輸出を原動力に好調を維持しており、雇用も堅調だ。賃金にも改善の兆しが見え始めた。ただ現時点では物価上昇には結びついていない。

7兆1900億円

ドイツのバイエルは米モンサントを660億ドルで買収する計画に関し、米反トラスト当局の承認を獲得した。計画発表から2年近くを経て、世界最大の種子・農薬会社誕生に向けた最後の大きなハードルをクリアした。買収が完了すれば、世界の農業分野は巨大企業3社が支配することになる。環境団体フレンズ・オブ・ジ・アースのティファニー・フィンクヘインズ氏は、農家と消費者にしわ寄せが行くとして、「毒性のある巨大合併だ」と批判した。

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