• 会談の主導権、ポンペオ氏の譲れない一線、今週のFOMCとECB
  • CPIは米利上げと整合か、最初の握手が肝心

71歳のトランプ米大統領と、その半分ほどの年齢の金正恩朝鮮労働党委員長。金委員長の方が一枚上を行く策略家かもしれないと、戦略国際問題研究所(CSIS)の韓国部長であるビクター・チャー氏は分析しています。「準備せずに会談に入るのは不可能だ。多くのわなが仕掛けられているだろう」と警告しました。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

会談の主導権

シンガポールで開かれる米朝首脳会談の終了時刻を、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が設定し、それに合わせてトランプ米大統領は現地出発の予定を前倒しすることになったと、事情に詳しい米当局者2人が明らかにした。トランプ米大統領はもともとは、交渉がうまく行くようであれば滞在を延長することに前向きだったが、金委員長が現地出発の時刻を確定したため、トランプ大統領もそうしたという。

譲れない一線

ポンペオ米国務長官は北朝鮮が核兵器を廃棄するまで、米国は経済制裁を維持するとシンガポールで記者団に語った。「米国が唯一受け入れる結果」とは完全かつ検証可能で不可逆的な非核化だと言明。「外交で正しい方向に動かないのなら、制裁は強化される」と述べた。香港の嶺南大学アジア太平洋研究センターの張泊匯教授は「北朝鮮に迅速で完全な非核化を強制し、長期化させないのが狙いだろう。長引けば米国のメンツが立たない」と分析、「問題は、金委員長がこれを受け入れるかという点だ」と述べた。

「ゆっくり」にも違い

米連邦公開市場委員会(FOMC)と欧州中央銀行(ECB)は今週の政策会合で、世界的な金融危機後に導入した政策アプローチからゆっくりと離れる姿勢を確認すると同時に、そのスピードの違いはさらに鮮明になると、モハメド・エラリアン氏は予想。FOMCでは25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%) の利上げを決定し、次回利上げが早ければ9月になる可能性を否定しない一方で、今年は合計3回の利上げという基本シナリオを維持する公算。一方のECBは不透明感の高まりを理由に、9月に資産購入を終了させるのではなく、少なくとも3カ月は継続、さらに延長する可能性を残すことになるだろうと、エラリアン氏はコラムで指摘した。

FOMCと整合

12日に発表される5月の米消費者物価指数(CPI)は、エコノミスト調査に基づき前年比で約2.7%上昇、食品とエネルギーを除いたコア指数は同2.2%上昇が予想されている。米金融当局の漸進的な利上げアプローチと整合する着実なインフレ加速が示される見通し。ウェルズ・ファーゴのサラ・ハウス氏は「インフレが根付いていることがマーケットに示唆されるだろう」と述べた。

最初の握手

トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との歴史的な首脳会談は、かつて核戦争の危機すら感じさせた2人の握手で幕を開ける。ホワイトハウスが11日明らかにしたところによると、両首脳は握手を交わした後、1対1の会談に入り、さらに側近を交えた拡大会合、ワーキングランチと続く。トランプ大統領は9日、会談に入って「最初の1分」で金委員長の核兵器廃棄の思いが真剣かどうか分かるだろうと述べていた。同大統領は2016年に安倍晋三首相と初めて顔を合わせたとき、19秒にわたって首相の手を握り続けた。

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