アメリカのロス商務長官は、中国が知的財産権の侵害など不公正な貿易慣行をやめるまで幅広い輸入品に高い関税を課す制裁措置を続けていく考えを強調し、対立が激しくなっています。

アメリカのトランプ政権は、巨額の貿易赤字を抱える中国からの500億ドル規模の輸入品に、25%の関税を課す制裁措置を来月6日から段階的に発動すると先週、発表しました。

これについて、アメリカのロス商務長官は20日、議会上院の公聴会で「基本的な戦略は、適切な行動をとらない国に十分な圧力をかけていくことだ」と述べ、中国が不公正な貿易慣行をやめるまで制裁措置を続けていく考えを強調しました。

トランプ大統領は、中国側が同規模の報復措置を打ち出したことを受けて、最大で4000億ドル規模の輸入品に高い関税を課す構えを示していて、対立が激しくなっています。

一方、ロス長官は、日本への影響も大きいとされる輸入車などに高い関税を課すことを視野に入れた調査については、「初期の段階にあり、今後、公正かつ透明性のあるやり方で進めていく」と述べるにとどめました。

また、鉄鋼製品に高い関税を課す輸入制限措置をめぐり、ロス長官は42の品目について関税の適用を除外することを明らかにしましたが、除外を求める申請は2万件以上にのぼり、手続きには時間がかかる見通しです。

貿易政策の変化は景気見通しに影響 FRB パウエル議長

トランプ政権が、保護主義的な貿易政策を強めていることについて、アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会のパウエル議長は20日、ポルトガルで講演したあとの質疑で「貿易政策の変化は、われわれの景気の見通しに疑いを生じさせる可能性がある。企業の間では、投資や雇用を先送りする動きがあり、懸念が高まっているようだ」と述べ、貿易摩擦が世界経済に与える影響に警戒感を示しました。