• キャッシュレス社会ではなく現金を減らし電子決済を増やすのが狙い
  • DBSなど7行の法人顧客も利用可能に-8月13日から
Photographer: SeongJoon Cho/Bloomberg

シンガポールがデジタル決済へのシフトを加速させる。2025年までの小切手廃止に加え、現金自動預払機(ATM)での現金引き出しも減らす方針を示した。

シンガポール通貨庁(MAS、中央銀行に相当)の理事でもあるオン・イェクン(王乙康)教育相は20日夜の講演で、銀行小切手も現金も決済手段としての人気が落ちていると指摘し、政府が支援する電子決済プラットフォーム「ペイナウ」について説明した。昨年導入されたペイナウはサービス対象を8月13日から企業にも拡大する。

シンガポールはアジア金融の中心地としての地位を高め、ロンドンや香港など他の主要都市と競う上でテクノロジーを重視。シンガポール最大の銀行DBSグループ・ホールディングスや配車サービスを手掛けるグラブがデジタル決済に力を入れているほか、螞蟻金融服務集団(アント・ファイナンシャル)など中国勢も東南アジアでの事業拡大を見据える。

オン教育相は「キャッシュレス社会ではなく、キャッシュを減らし電子決済を増やすのがわれわれの狙いだ」と述べた上で、「利便さと信頼性の水準が重要な転換点に達したら、短期間で全国民に広がるだろう」と予想した。

同相によれば、ペイナウの登録件数はすでに140万を突破。昨年の導入後、約9億シンガポール・ドル(約730億円)がこのサービスを通じて送金された。

サービス拡充に伴い、DBSなど7行の法人顧客もシンガポールでペイナウ経由で送金が可能になる。銀行協会によれば、他の6行はオーバーシー・チャイニーズ銀行(OCBC)とユナイテッド・オーバーシーズ銀行(UOB)、スタンダードチャータード、HSBCホールディングス、マラヤン・バンキング、シティグループ。

原題:Singapore Pledges to Cut Cash, Checks on Path to Digital Economy(抜粋)