• アナトリア通信が開票率96%時点でエルドアン氏が53%得票と報道
  • 野党は改ざんの証拠があったと主張、公式結果は未発表だと強調

24日投開票のトルコ大統領選で、現職のエルドアン大統領が勝利を宣言した。野党は不正が行われたと主張している。選挙後に同国は議員内閣制から実権型の大統領制に移行し、大統領は強大な権限を手にすることになる。総選挙も同時に行われた。

アナトリア通信によると、開票率96%時点で得票率はエルドアン氏が53%、最大野党・共和人民党(CHP)のインジェ氏が31%。エルドアン大統領はイスタンブールの喜びに沸く支持者の前でこうした非公式の開票結果を引用し、自分は国民の信任を得たと勝利宣言、国会(一院制、定数600)の与党陣営も過半数を制したと語った。その上で、大統領は「われわれは選挙での対立を忘れるべきだ」と述べた。

一方、野党は改ざんの証拠があったと主張、公式集計結果はまだ発表されていないとして、アナトリア通信が伝えた結果に異議を唱えた。CHPのスポークスマンは、上位2候補による決選投票の回避に必要な50%にエルドアン氏の得票率は届かないだろうと述べた。インジェ氏は最新のツイッターへの投稿で、選挙管理委員会が最終結果を公表するまでコメントしないと表明した。

政治リスク分析を手掛けるコンサルティング会社テネオ・インテリジェンスの共同社長、ウォルファンゴ・ピッコリ氏(ロンドン在勤)は電子メールで、選挙結果は「独裁体制へのトルコのシフトの最後の一歩だ」と指摘した。

2003年から国政のトップに君臨してきたエルドアン氏は選挙戦で、国内の混乱時には政治の継続を重視すべきだと訴えた。トルコは同氏の下で急速な経済発展を遂げてきたが、この数カ月、失速の兆候がみられている。大統領が利下げを主張して中銀と対立する中、トルコ・リラは急落し、資本は逃避した。

今年に入ってブルームバーグが調査する17の主要通貨全てに対し下落しているトルコ・リラは選挙結果が伝えられる中、25日早朝のアジア時間に上昇した。イスタンブール時間25日午前0時半(日本時間同6時半)時点でドルに対し1.9%高の1ドル=4.59トルコ・リラ。

総選挙の得票率は与党・公正発展党(AKP)主導の政党連合が54%、主要野党連合が34%、クルド人中心の国民民主主義党(HDP)が11%となった。これにより、与党連合は国会で過半数議席を得ることになるが、AKP単独で過半数を得られるかは連合を組む民族主義政党次第となる。

原題:Erdogan Claims Election Win as Turkey Enters Era of One-Man Rule(抜粋)