• 今年上期の新モデルや設備への投資、前年同期の半分程度-SMMT
  • エアバスやBMW、英国外に生産移す可能性を示唆

企業に優しい政府を自負する英国のメイ政権は、国内自動車業界の投資をゆっくりと死に追いやるリスクを冒している。英自動車業界団体が批判した。自動車メーカーは欧州連合(EU)離脱後について何としても明確な説明を得たいと求めるが、政権内では混乱が続いている。

2019年3月29日でEUを離脱した後はEU予算への拠出がなくなるので、浮いた資金を歳出に回せるとメイ首相は主張。この主張にはさまざまな分野の専門家が異論を唱えているが、これに英自動車工業会(SMMT)のマイク・ホーズ最高経営責任者(CEO)も加わった。ホーズCEOはEU離脱の配当は自動車業界には与えられないとし、英国は「競争力を徐々に落としていくだろう。新モデルの生産確保は難しくなり、ゆっくりと死に追いやる拷問のようだ」と述べた。

ここ数日には独BMWや欧州航空機メーカーのエアバスからも、EU離脱で生産に遅れが生じる場合は英国外に生産を移さざるを得なくなるとの示唆が出ている。SMMTによると、新モデルや設備機器、生産施設への英国内投資は今年上期で3億4700万ポンド(約500億円)と、前年同期の6億4700万ポンドから急減した。