けさ注目したのはロイターが配信したギリシャのチャカロトス財務相とのインタビュー記事。同財務相はギリシャが自力で資金調達を行うことは可能だとの見解を示している。3年前、ギリシャは財務破綻寸前に追い込まれ、EUが前面に出て救済策を取りまとめようとしていた。ギリシャの政治情勢が国際金融市場の材料となり、EUとの交渉で金融市場はその都度一喜一憂していた。その後、ギリシャはどうなったか。救済策がまとまりギリシャが再建に向けて動き出したあたりから、ギリシャ問題は火が消えたようにニュースで取り上げられなくなっていった。そのギリシャ、ロイターのニュースを見る限り悪くもなっていないが良くもなってもいないようだ。

ロイターによると、ユーロ圏財務相は6月、ギリシャに対する過去の融資の大半について、償還期限と返済猶予期間を10年延長する債務軽減策で合意した。また、8月20日に期限を迎える第3次支援プログラム終了後の資本市場復帰を支援するため、新たに150億ユーロを融資することでも合意した。ギリシャが抱える債務は対国内総生産(GDP)比で約180%と、ユーロ圏加盟国の中で最も高いーとある。債務延長が決まったということはギリシャ経済が相変わらず平行線をたどっていることを意味する。そのうえに金融市場復帰に向けて新たに150億ユーロの融資も決まっている。この記事を見る限り、再建の道は依然として険しそうだとの印象を受ける。そんな中でチャカロトス財務相は自力での資金調達が可能だとの見解を示したというが今日のニュースの目玉だ。

ギリシャの緊縮財路線は依然として続いているのである。そんな中でイギリスではこのところ、労働党党首に就任したコービン氏の人気が高まっている。同氏はEUの緊縮財政路線を強い口調で批判している。それだけではない。野党でありながら経済成長を追求する政策運営を求めているのである。イタリアでも政権を獲得したポピュリスト政党が反緊縮路線に転換しようと模索している。緊縮派の代表格であるドイツは、難民政策をめぐって連立与党内で対立が激化、今週にはいってようやく政権崩壊の危機を脱出したばかりである。ギリシャのチプロス首相は反緊縮派の急先鋒だ。EUとの妥協を優先し、積極財政への転換は未だに実現していない。とはいえ、EU内部では徐々に反緊縮派が勢いを増している。3年前にギリシャは時代の先導役だったのかもしれない。