• 米貿易赤字、トランプ氏には他国が盗みを働いていることの証拠
  • こうした考えに同調するエコノミストはほとんどいない

2016年米大統領選への出馬に当たり、ドナルド・トランプ氏はビジネスマンとしての経歴をアピールした。しかし、各国・地域との間で貿易戦争をエスカレートさせるその姿は、経済に関する同氏の考えがいかに主流から外れたものかを浮き彫りにしている。

トランプ大統領にとって、米貿易赤字の存在は他国が「盗みを働いている」ことを意味する。こうした考えに同調するエコノミストはほとんどなく、大統領が課している輸入関税については、6日に発動した中国製品340億ドル(約3兆7600億円)相当に対するものも含め、国内的に裏目に出て米国の雇用をリスクにさらし、世界の成長を損ないかねないとエコノミストは警告している。

トランプ大統領がエコノミストの度肝を抜くのは貿易問題に限らない。経済が堅調な成長を遂げ、国の債務が記録的な水準にある局面での減税実施によって、年間の財政赤字幅を1兆ドルに向けて押し上げた。大統領は労働市場の逼迫(ひっぱく)にもかかわらず移民を制限しようとし、経済統計を誤用したり、誤って述べたりすることも繰り返している。

米コーネル大学の経済学者、スティーブン・カイル氏はトランプ大統領について、「彼は不動産やビル建設の方法はよく知っている。だが、国際経済に関する限りは、強烈に非経験的な考え方の持ち主だと見受けられる」と語った。

トランプ政権高官の1人は、米製造業雇用の長期にわたる低迷の責任はトランプ氏のアプローチを批判するエコノミストや議員にあると主張。過去1年余りの低失業率と成長率加速はトランプ氏の経済ビジョンが正しいことを証明するものだと、同高官は匿名を条件に論じた。

ホワイトハウスの報道官はこの件に関してコメントを控えた。

原題:Trumponomics: Trade War Spotlights President’s Unorthodox Stance(抜粋)