[東京 11日 ロイター] – 内閣府が11日に発表した5月機械受注統計によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、前月比3.7%減の9079億円となった。4月に10.1%の大幅増となった反動が出たが、減少は小幅にとどまり、事前予測ほど落ち込まなかった。4四半期連続増が期待できる結果となり、企業が設備投資にようやく積極的な姿勢となってきたことを裏付ける内容となった。
ロイターの事前予測は前月比5.5%減。前年比では16.5%増だった。内閣府は、機械受注の判断を「持ち直している」に据え置いた。
製造業は同1.3%増、4月は20%超の大幅増だった後にもかかわらず増勢を維持。省力化やIoT投資などが活発になっているとみられる。非製造業は0.2%増。5カ月連続で増加(横ばいを含む)している。人手不足の深刻な建設や卸・小売、情報サービスなどがこのところ増加基調となっている。
なお、季節調整をそれぞれにかけるため、民需全体が増加となっていることとは整合的とはなっていない。
機械受注が増勢を維持していれば、半年程度のタイムラグを置いて設備投資にも結果が表れるはずだ。
内閣府が企業の受注見通しをもとに試算した4─6月期の機械受注見通しは前期比7.1%と高い伸びとなっている。5月の結果を踏まえると、6月が減少しても15.3%減より落ち込み幅が大きくなることがなければ、4―6月期は横ばい以上となり、4四半期連続増となる。
先行指標のこうした動きを裏付けるように、6月日銀短観による18年度の設備投資計画は大幅に上方修正され、企業の設備投資意欲は堅調のようだ。 民間調査機関からは「設備投資の回復は続く勢いがあり、当面、日本経済のけん引役となりそうだ」(大和総研・チーフマーケットエコノミスト・岩下真理氏)との声も上がっている。
ただ、米通商政策の影響により、行き不透明感が投資姿勢を慎重化させる恐れもある。調査機関からは、設備投資の先送りへの懸念も浮上している。