• トランプ氏が譲歩する可能性に米国内外から不安の声
  • トランプ氏、プーチン氏への要求項目はないと示唆

16日に予定するトランプ米大統領との初の首脳会談は、プーチン大統領にとってメリットばかりだ。米国内のトランプ大統領に批判的な向きや米国の同盟国からは、プーチン氏が望み通りの結果を得るのではないかと懸念する声が聞かれる。

トランプ氏とプーチン氏はフィンランドのヘルシンキで会談。両国政府関係者によれば、両国間の全ての主要な問題について対話する見通しだ。ロシアの2016年米大統領選挙への介入疑惑、ウクライナとシリアへの侵攻、北大西洋条約機構(NATO)加盟国への軍事的威嚇、米国の対ロシア経済制裁などが含まれる。

ロシアのプーチン大統領、Photographer: Sergei Chirikov/AFP via Getty Images

米国ではトランプ氏の当選を助けるため同氏陣営とロシア当局が共謀した疑いを巡り米国で捜査が続いている。そのような状況の中でトランプ氏と1対1で会うことは、それ自体すでにプーチン氏にとって勝利だ。一方、トランプ氏にとって会談のメリットはあまり明確でない。それが一部の米議員や外交専門家を不安にさせている。

フレーク上院議員(共和、アリゾナ州)は12日、議会演説で「プーチン氏の脅威の性質をホワイトハウスがあまり分かっていないとすれば、米ロ首脳会談はこれ以上ないほど不安だ」と発言。トランプ氏がプーチン氏に示している「称賛」は「受け入れがたい」と主張した。

同じくアリゾナ州選出のマケイン上院議員(共和)は、トランプ氏は「プーチン氏に対して強く、断固とした姿勢をとれることを示す必要がある」と述べた。

トランプ氏は12日、プーチン氏に一連の要求を突きつけることはないと示唆。ブリュッセルでのNATO首脳会議後の記者会見で「会談にはあまり多くを期待せずに臨む」とし、「シリアについて聞きたいし、もちろんメディアが好きな介入疑惑についても聞く。これについてもう1度尋ねるが、他のことについても話す。ウクライナ問題も議論する」と語った。

原題:Putin’s Got a Lot to Gain From Trump Meeting, and Might Get It(抜粋)