アメリカのトランプ大統領とロシアのプーチン大統領の1年ぶりとなる首脳会談が日本時間の16日、フィンランドの首都ヘルシンキで行われます。冷戦後、最悪ともいわれる両国関係の改善に道筋をつけられるかが焦点です。

アメリカのトランプ大統領とロシアのプーチン大統領は、フィンランドの首都ヘルシンキで16日午後、日本時間の16日夜、首脳会談に臨みます。

これを前にトランプ大統領が15日夜、専用機で現地入りしました。両首脳の正式な会談は去年7月以来で、シリアやウクライナ情勢をめぐり意見を交わすほか、核軍縮条約「新START」の期限の延長についても協議する可能性があります。

トランプ大統領としてはプーチン大統領との関係を構築しみずからの外交成果とアピールするとともに、ロシアがおととしのアメリカ大統領選挙に干渉したとされるいわゆる「ロシア疑惑」をめぐり、当時のトランプ陣営の関与を改めて強く否定する狙いがあるとみられます。

一方のプーチン大統領は欧米の制裁などで孤立しているというイメージを払拭(ふっしょく)しながらウクライナなどの問題でロシアの立場へのトランプ大統領の理解を求め、有利な言質を引き出したい狙いがあるとみられます。

両国の関係はウクライナ情勢や「ロシア疑惑」を受け、冷戦後、最悪ともいわれるまでに冷え込んでいて、首脳会談で関係の改善に道筋をつけられるかが焦点です。

トランプ大統領の狙いは

トランプ大統領としては今回の米ロ首脳会談を、先月の米朝首脳会談に続くみずからの首脳外交の成果と、国内外に大きくアピールする狙いがあるとみられます。

そのためにプーチン大統領と個人的な関係を築き、冷戦後、最悪とまで言われる関係の改善を図って、オバマ前大統領にはなしえなかった成果だと訴えたい考えだとみられます。

また同盟関係にあるヨーロッパ各国との関係が、トランプ大統領の保護主義的な貿易政策や国防費の増額をめぐる問題でぎくしゃくする中、その対抗相手であるロシアのプーチン大統領との関係を構築することで、大国としての影響力をみせつける思惑もあるとも指摘されています。

さらにトランプ大統領としては、今回の会談であえて「ロシア疑惑」に言及し、ロシア側との共謀はなかったとする主張を強く訴えて、みずからの支持者に改めて疑惑自体を「フェイクニュース」だと訴えるとともに、疑惑の捜査が両国関係の妨げになっていると印象づけたい考えだとみられます。

アメリカの専門家は、トランプ大統領としては国内でさまざまな批判にさらされる中、秋の中間選挙をにらんで、具体的な中身より会談の開催そのものを外交成果だと強調し、みずからの指導力を誇示することにあるだろうと分析しています。

プーチン大統領の狙いは

ロシアのプーチン大統領は新冷戦といわれるほど欧米との対立が先鋭化する中、トランプ大統領と正式な首脳会談を開催すること自体を成果ととらえているとみられます。

プーチン大統領は会談を通してアメリカとの関係改善に向けて一歩踏み出し、欧米からの制裁を受ける中でもロシアが国際社会から孤立しているという印象をぬぐい去りたい考えです。

プーチン大統領はことし3月の年次教書演説で「だれも私たちの話を聞こうとしなかった。今こそ耳を傾けるべきだ」と訴えました。

プーチン大統領はシリア情勢やイギリスで起きたロシアの元スパイ暗殺未遂事件などで欧米が一方的に議論を進め、ロシアの責任を追及する声だけが高まっているとして不満を募らせています。

プーチン大統領はアメリカとヨーロッパの関係がぎくしゃくしている状況もにらみながらトランプ大統領との1対1の会談の場を利用してシリアなど中東やウクライナ情勢でロシアに有利になる言質を引き出そうという思惑もあるとみられます。

また、欧米による長引く制裁でロシアの大手企業の活動が制限されるなど経済への影響も広がる中、ロシア国内ではアメリカとの関係改善を求める声も出始めています。

プーチン大統領としては、ことし5月に通算4期目を迎えて以降、目立った外交成果が見られないだけに、トランプ大統領との首脳会談の成果を国民向けにも最大限アピールしたいものとみられます。