• 海外投資家にとって米国債利回りは魅力、ドルを下支えとテイラー氏
  • ドルはなおオーバーウエートと、ステート・ストリートのグラフ氏
Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

ドル相場について、トランプ米大統領はドル安の方が好ましいとの考えを示唆しているが、ローリング・ストーンズが楽曲「無情の世界」で歌ったように「欲しいものがいつでも手に入るとは限らない」ようだ。

そう指摘するのは、世界最大の為替ヘッジファンドをかつて運用していたジョン・テイラー氏やステート・ストリート・バンク・アンド・トラストのストラテジストだ。この説を支えるのは一つには、関税の報復合戦が繰り広げられても米成長は堅調を維持し、連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げを続けるとの見通しだ。こうした中、ドルは4月半ばから6%近く上げている。

23日の外為市場ではドルが反発。週末にムニューシン米財務長官が、貿易摩擦が通貨戦争を引き起こしたとの懸念の解消に動いたことで、20日の下げを一部埋めた。20日は、トランプ大統領がツイッターへの投稿で「自国の通貨と金利を低い水準に操作してきた」として中国と欧州連合(EU)を批判したことから、ドルが大幅安となっていた。

金融市場に関するニュースレターを発行するテイラー・グローバル・ビジョンを運営しているテイラー氏は、「トランプ氏のドル安維持の取り組みにもかかわらず、ドルはますます上昇していくだろう」と予想。「FOMCが利上げを継続し、米財政収支悪化で米国債の供給が拡大」すれば、海外投資家にとって米国債利回りは魅力的であり続け、ドルを支えるだろうと分析した。

欧州中央銀行(ECB)は資産購入プログラムを年内に終了する意向だが、少なくとも2019年半ばまで過去最低の金利を維持すると示唆。一方、FOMCは15年12月の引き締め開始以降7回の利上げを実施しており、米独の一部国債の利回り格差は少なくとも1990年代以来の大きさとなっている。

ステート・ストリートの欧州・中東・アフリカ(EMEA)担当マクロ戦略責任者、ティモシー・グラフ氏は「ドルについてなおオーバーウエートとしている」とし、「関税だけの問題なら」中国やユーロ圏が失うものは米国より多いため、「当面は引き続きドルにポジティブだ」と述べた。

各国・地域が優位に立とうと通貨安競争に動くシナリオについて、状況がそのように変化すれば「ダイナミクスも変化するが、そうなる可能性はまだかなり低い」と指摘した。

原題:Dollar Seen Rising Past Trump’s Twitter Noise as Fed Hikes Await(抜粋)