ネタ枯れの中で今朝目に付いたのは中国の「北戴河」会議にまつわる話題と米国のイラン制裁復活に絡んだ情勢分析だ。北戴河会議は毎年この時期に開かれる中国指導部の非公式会合。主席経験者の長老と習近平政権の現役指導者らが一堂に会して中国の政治や党幹部の人事、国際情勢などをめぐって非公式な意見交換を行う会議とされている。例年開催それ自体がベールに包まれるが、今年は幹部がこの会議に出席するため河北省の保養地である北戴河を訪れたという記事が掲載されているとのこと。会議そのものの存在を公に認めた格好になっている。米中の貿易摩擦をきっかけとした当面の経済運営などが議題になりそうだが、習近平国家主席の個人崇拝も議論の対象になるのではないかと、専門家は見ているようだ。日経Web版に掲載された「『トランプ砲』が照準合わせた避暑地・北戴河の密会」にこの間の事情が詳しく紹介されている。

これに歩調を合わせたというわけではないが、日経Web版には「台湾製造業が米に生産網、貿易戦争で中国集中を転換」との記事も面白い。トランプ政権の米国ファースト、米中貿易戦争の行方に多くの人の関心が集まっているが、 そんな中で台湾の製造業の間で「米中貿易戦争や人件費高騰で中国生産の優位が崩れると判断、生産網の再編に踏み込む」動きが顕著になっていると報じている。再編の先にあるのはもちろん米国。アップルやグーグルなど米国のIT企業を部品供給面から支えてきた台湾の製造企業に米国回帰の動きが強まってきているとしており、米中戦争の先行きを占い上でも注目させそうな動きだ。トランプ政権は習近平主席に対する個人崇拝批判が強まっていることを見越した上で、「北戴河会議」の開催に照準を合わせて貿易戦争を仕掛けてきたのだろうか。それを見越して親米国の台湾勢が米国に工場を移転させようとしているとすれば、中国政権も内心穏やかではないだろう。

米中の貿易摩擦が長引きそうな気配を強める中で、中東の火薬庫ともいうべきイラン問題も複雑な様相を強めている。6日で制裁猶予期間が終了した米国はこれから本格的にイラン制裁に踏み込む意向をしめている。硬軟両用作戦のトランプ大統領はイランのロウハニニ大統領に無条件の首脳会談を呼びかけたが、同大統領は「トランプ大統領の直接交渉を巡る呼び掛けは選挙を前にした国内向けの姿勢に過ぎない」(ロイター)とこれを拒否した。中国同様、イランもトランプ大統領の“恫喝”に簡単には屈しそうにない。加えてEUも米国が復活させたイラン制裁に対抗する姿勢を示している。関税問題でEUと手を組み中国の孤立化に成功したトランプ政権だが、イラン問題ではEUの抵抗にあっている。何れにしてもトランプ大統領が仕掛けた米国ファースト先行きが気になるが、台湾勢はいち早く米国になびく姿勢を示した。こうした動きが横に広がるかどうかもこれからの注目点になる。