今朝のビックニュースは日朝高官がベトナムで接触していたことだ。ワシントン・ポストが一連の北朝鮮情報の一環として伝えた。朝日新聞には「米ワシントン・ポスト紙(電子版)は28日、複数の関係者の話として、北村滋・内閣情報官と朝鮮労働党統一戦線部のキム・ソンヘ統一戦線策略室長が7月にベトナムで極秘に会談していたと報じた。米政府高官らは日朝両国の情報当局高官の接触を事前に伝えられず、不満を示しているという」とある。北朝鮮の專門ニュースである「デイリーNKジャパン」は国家保衛省の情報筋の話として、「金正恩氏は2018年を誇り高く締めくくるために朝日首脳会談を今年11月末頃に計画している」と伝えている。本格的な政治の季節の到来を前に北朝鮮がらみの情報が賑わしくなってきた。

発端は23日にポンペオ国務長官が記者会見で4回目の訪朝を発表したこと。各種情報を総合すると、このあと24日に北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長がポンペオ氏に書簡を送り、「米国が(北朝鮮との)平和協定の締結に向けて取り組まず、北朝鮮の期待に応えていない」と非難したようだ。これを受けてトランプ大統領がツイッターで「ポンペオ長官の訪朝中止を指示した」ことを明らかにする。このあと米朝の非難合戦が続き、28日にはついにマティス米国防長官が記者会見を行い、「現時点でこれ以上、軍事演習を中止する計画はない」と北朝鮮を揺さぶった。トランプ大統領のいいところは、本来極秘であるはずの外交交渉の一部が時間をかけずに明らかになることだ。われわれ素人も水面下で繰り広げられている交渉を目の当たりにしているような臨場感を感じる。

そんな流れの中で日朝の秘密接触も明らかになった。デイリーNKジャパンによると金正恩党委員長が今年5月中旬、「日本との関係回復のための首脳会談を準備せよ」と指示したのを受け、中央党(朝鮮労働党中央委員会)の組織指導部が密かに日本との首脳会談の準備を進めている」と伝えた。これが事実だとすれば水面下の動きはわれわれの想像をはるかに超えている。金正恩委員長の決断はかなり早いのである。メディアの情報察知能力が低いというべきか。メディアが伝えている北朝鮮の日本に対する批判とは裏腹に、北朝鮮は関係改善を求めて早い時期から日本と接触しているのである。ただし、これが日本人の拉致問題解決につながるわけではない。北朝鮮の駆け引きの一つに過ぎないだろう。米朝の関係が悪化するのと裏腹に、日朝関係には改善の兆しが出始めている。なにやら小泉政権時代のデジャブーを見ているような気がする。