• EU、交渉が前進した場合のみ11月の臨時首脳会議を検討と言明
  • メイ首相の離脱提案、EU首脳がきっぱり拒絶

英国のメイ首相は膠着(こうちゃく)状態に陥った欧州連合(EU)離脱交渉を打開するため、新たな計画を用意すると約束した。20日まで2日間にわたって開かれたEU首脳会議で加盟国首脳はメイ首相の離脱案をきっぱりと拒絶し、合意成立のための時間はなくなりつつあると警告した。

オーストリアのザルツブルクで行われたEU首脳会議は進展なく終了した。EU側はメイ首相に対する圧力を増し、10月までに英国からさらなる譲歩があった場合のみ、合意に調印するための臨時首脳会議を11月に開くと表明した。

合意には二つの大きな問題が依然横たわる。アイルランド国境問題離脱後の通商関係だ。「成すべき仕事はまだ多い」と、メイ首相は首脳会議終了後に記者団に説明。「合意成立への意思はあると信じている。だが、誤解して欲しくはないが、合意なき離脱の準備も進めている」と語った。

メイ首相は10日後に自身が率いる保守党の党大会を迎える。英政府当局者の間では首相がこの党大会を乗り切るのを後押ししようとEU首脳から温かい言葉をかけられるとの期待があったが、EU首脳から首相案に対して否定的な評価が相次ぎ、その希望はほぼついえた。

メイ首相の案について「前向きな要素もあるが、経済協力に関して提案されている枠組みは機能しないとの見解で全員が一致している」と、トゥスクEU大統領(常任議長)は指摘。「EU単一市場の原則に抵触する恐れがあるため、なおさら機能しない」と説明した。

トゥスク氏はさらに、10月のEU首脳会議が「正念場」になるとし、それまでに「最大レベルの進展」がなければならないとの見解を示した。その場合にのみ「合意を最終決定し、正式にするための臨時首脳会議を11月に開く」に相当するか判断すると語った。事情に詳しい関係者の1人によると、その場合は11月17-18日となる見通しだ。

一方、フランスのマクロン大統領は、EUを離脱すればよりよい将来が描けると主張した英国の政治家を「うそつき」と呼んで非難し、英国はEU離脱決定の影響を被ることになると警告した。

原題:U.K.’s May Promises New Brexit Offer After Bruising EU Summit(抜粋)