[ニューヨーク 20日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、ドルが広範な通貨に対して下落した。今週に入り米中が新たな関税措置を相互に発表したものの、予想されたほど事態は深刻にならなかったことでリスク選好度が回復し、安全資産としてのドルに対する需要が減退した。

米中の関税措置に為替相場は当初は反応したものの、その後はおおむね落ち着いて推移しており、市場関係者の間では、少なくとも当面は米中間の通商問題で世界的な衝撃が引き起こされることはないとの見方が広がっている。

アナリストは、堅調な米経済指標や米利上げ観測などはすでに織り込まれているため、ドル強気派は相場を一段と押し上げる理由を探すのに苦労していると指摘。スコシアバンク(トロント)の首席外為ストラテジスト、シャウン・オズボーン氏は「少なくとも短期的には、ドル押し上げ要因はどんなに絞ってもこれ以上は出てこないとの見方が市場で意識され始めている」と述べた。

ユーロは対ドルで0.93%上昇。主要6通貨に対するドル指数は0.7%下落し、7月上旬以来の低水準を付けた。ただ、一部市場参加者の間ではドルの軟調な状態は長続きしないとの見方も出ている。ステート・ストリート・グローバルマーケッツのEMEAマクロ戦略部門責任者、ティム・グラフ氏は「ドルが新たな下落局面に入ったとは見ていない。金利差がなお意味を持っていることに加え、米国の経済ファンダメンタルズは他の国と比較してまだかなり堅調であることを踏まえると、下落局面に入ったとしても長続きはしないと考えている」と述べた。

ポンドは対ドルで0.99%高。欧州連合(EU)離脱条件を巡る合意について楽観的な見方が出ていることに加え、8月の小売売上高指数が予想より堅調だったことが押し上げ要因となった。 カナダドルは対米ドルで約3カ月ぶり高値を更新。米国との北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉協議の行方が注目されている。

市場は来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)に注目。連邦準備理事会(FRB)は今回のFOMCで利上げを決定するとの見方が大勢となっている。

ドル/円
NY終値 112.48/112.51
始値 112.19
高値 112.58
安値 112.05

ユーロ/ドル
NY終値 1.1775/1.1778
始値 1.1719
高値 1.1785
安値 1.1714