シーザー・セヨク容疑者=2015年8月撮影(AFP時事)

【ニューヨーク時事】トランプ米大統領と対立してきた野党民主党の有力者やCNNテレビなどにパイプ爆弾とみられる不審物が送られた事件で、捜査当局は26日、シーザー・セヨク容疑者(56)を違法な爆発物の郵送や脅迫など5件の容疑で逮捕・訴追したと発表した。捜査当局は米各地でこれまでに「簡易爆弾(IED)」13個を確認。不審物に付着した指紋から容疑者を特定した。トランプ氏は容疑者について「他の人より私のことが好きだったと聞いた」と述べ、自身の支持者であることを明らかにした。

米フロリダ州から「爆弾」発送か=不審物10個に、郵便使われる

 トランプ氏は逮捕を受け、「卑劣だ」と事件を非難。「政治的暴力が米国に根付くことを容認してはならない」と強調した。しかし、これまで自身に批判的な民主党やCNNなど主要メディアを激しく攻撃し、党派対立の激化を招く一因となってきた。米社会の二極化が進む中、11月6日の中間選挙を前にトランプ氏の姿勢が改めて問われそうだ。

CNNなどによると、当局が押収したセヨク容疑者の車には多数のトランプ氏らの顔写真のほか、「CNNは最悪」というシールが貼られていた。共和党支持者で、トランプ氏の集会に出席していたという情報もある。フェイスブックなどでトランプ氏を支持する団体への投稿や、リベラル派の政治家に対する批判的な投稿を共有していたもようだ。容疑者は車で生活しており、捜査当局は26日、南部フロリダ州の駐車場で容疑者を拘束。動機の解明を進めている。

爆弾の郵送に使用された封筒の一つに付着した指紋が犯罪歴のあるセヨク容疑者と一致し、逮捕につながった。封筒には約15センチのパイプや小さい時計などが入っていた。爆発能力はあったが爆発はせず、けが人は出ていない。