戦後築いてきた日韓関係を壊す不当な判決である。元徴用工が起こした訴訟で韓国最高裁が日本企業に賠償を命じたが、受け入れられない。河野太郎外相は「友好関係の法的基盤を根本から覆す」とし、韓国の駐日大使を呼び抗議したがそれだけで足りるのか。政府は前面に立ち、いわれなき要求に拒否を貫く明確な行動を取るべきだ。

 韓国人4人が新日鉄住金(旧新日本製鉄)を相手取った訴訟の差し戻し上告審で、「植民地支配や侵略戦争遂行と直結した反人道的な不法行為」などと決めつけ、個人の請求権を認めた。

史実を歪(ゆが)め、国同士の約束を無視する判決こそ法に反し、韓国司法の信頼を著しく傷つける。

戦後賠償問題は、1965(昭和40)年の日韓国交正常化に伴う協定で、日本が無償供与3億ドル、有償2億ドルを約束し、「完全かつ最終的に解決された」と明記された。無償3億ドルに個人の補償問題の解決金も含まれる。

盧武鉉政権でこれを認める見解をまとめた。文在寅大統領は当時の側近である。

戦時徴用は当時の法令(国民徴用令)に基づき合法的に行われた勤労動員であり、韓国最高裁の判断は明らかに誤っている。

韓国内に不満が残り提訴を招くのも、正確な説明や補償を怠ってきた歴代政権の不作為による。文氏は日韓協定の順守を明確にすべきだ。司法の独立を盾に、指導者の責任を放棄しては、問題をこじらせ自らの首を絞めるだけだ。

日本にとって一企業の問題ではない。係争中の企業は多数ある。次々に賠償命令が確定し、韓国内に保有する日本企業の資産が差し押さえられる可能性もある。戦後補償の枠組みを壊すものだ。

 根拠なき要求に屈すれば、さらなる要求を招く。慰安婦問題を含め、日本政府は謝罪外交の過ちを繰り返してはならない。

国同士の約束を破り国際的信用を失うのは韓国である。韓国への投資なども冷え込もう。政府間の交渉も信頼して行えない。