[ワシントン 8日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は8日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.00─2.25%に据え置くことを全会一致で決定した。

FRBは声明で「労働市場が引き締まり続け、経済活動が力強い速度で拡大している」と指摘。力強い雇用の伸びと個人消費で経済は軌道から外れていないとの見方を示し、緩やかな利上げを継続するとの姿勢を維持した。ただ企業投資は今年に入ってから見られた速いペースからは緩やかになったとの認識も示された。政策据え置きは予想通り。FRBは今年に入ってから3回の利上げを実施しており、次回12月のFOMCでは利上げに動くとの見方が大勢となっている。

米国ではインフレ率がFRBが目標とする2%近辺で推移し、失業率は低下。経済に対するリスクはおおむね均衡しているとみられる中、今回の声明では、FRBの経済に対する見方が前回9月のFOMC以降ほとんど変わっていないことが示された。10月の株安や住宅・企業投資後退の兆候を踏まえ、アナリストの中にはFRBが次回利上げに懐疑的な見方を示唆するとの見方もあった。ただ、12月の利上げはなお確実視されているようだ。

BKアセットマネジメント(ニューヨーク)の外為戦略担当マネジング・ディレクター、ボリス・ショレスバーグ氏は「何か1つ予想外のことを挙げるとすれば、一段とタカ派的にならなかったことだ」と指摘。「企業投資のぺースがこれまでよりも『緩やかに』なったなど、これまでよりも抑制された文言も散見される。ただこうしたこと以外にFRBは警戒シグナルは一切示さなかった」と語った。

商務省が前月末に発表した第3・四半期国内総生産(GDP)速報値は年率換算で前期比3.5%増。FRBのほか多くのエコノミストが基調的なトレンドと見なす2%近辺を大きく上回った。ただFRB当局者は、トランプ政権の減税策と歳出拡大策による影響が薄れる中で、米経済がピークに達したのか議論を始めている。

今回の声明では、米株式市場のボラティリティーのほか、来年に世界経済が減速する可能性などに関する明白な考察はなかった。今回のFOMCでは新たな経済見通しは公表されず、パウエルFRB議長の記者会見も予定されていない。