[ブリュッセル 19日 ロイター] – 日産自動車会長で仏ルノーの最高経営責任者(CEO)を務めるカルロス・ゴーン容疑者が逮捕されたことについて、ルメール仏財務相は19日、ルノーの安定性や存続性への脅威にはならないとの見解を示した。
同相は記者団に対し、政府はルノーの大株主として日産との連合に引き続きコミットしているほか、ルノーの長期的な存続性を確保する方針で、今後の対応はこれから決定すると語った。ゴーン容疑者の逮捕やCEO交代についてはコメントを差し控える一方、有罪が証明されるまでゴーン氏は無罪と見なすべきと指摘した。
◯ 日産・ルノー・三菱連合の将来 不透明に<NHK>
ルノー株価は8%値下がり
仏メディア「大変な驚き」
ゴーン氏の逮捕をフランスのメディアは大きく伝えています。
フランスの公共放送「フランス2」は、ゴーン会長は「コストキラー」として徹底的なコストカットで日産を回復に導いた「世界で最も重要な経営者の一人だった」と紹介したうえで、逮捕について「大きな驚きだ」と伝えました。
また、有力紙「ルモンド」の電子版は、以前からゴーン会長の報酬が高すぎるという批判が上がってきたことを紹介したうえで「この並外れた指導者にとって、逮捕は青天のへきれきだ。日本で彼は長い間、神のように見なされてきた」と報じました。
そのうえで、ゴーン会長の「転落」が、ルノーと日産、それに三菱自動車の提携を危険にさらすおそれがあるなどと伝えました。
ゴーン神話「数字の見栄え良くしただけ」<毎日新聞>
「今回の事件、日産が変化するチャンスに」 遠藤徹さんの話
当初は「ゴーン神話」と騒がれたが、彼が来てから国内販売網はズタズタにされ、売れそうな車種以外は切り捨てられた。日本のメーカーとして国内シェアを固めた上で海外に打って出るべきなのに、目先の数字だけを追い、コストカットと、ルノーや三菱自動車との3社連合によるシナジー効果で数字の見栄えを良くしてきただけだ。その結果として、飛び抜けた額の報酬をもらっても、理解は得られない。「(高額報酬は)海外では普通」とはいっても、日本では特異で、トヨタ自動車社長と比べても段違いに多い。社員に還元した方がまだよかったのではないか。今回の事件は日産が変化するチャンスになるかもしれない。
◯ 仏大統領「ルノー連合の安定性注視」=ゴーン氏逮捕に「稲妻」<時事ドットコム>2018/11/20-00:33
【パリ時事】日産自動車会長のカルロス・ゴーン容疑者の逮捕は、日産と連合を組む自動車大手ルノーの地元フランスにも大きな衝撃を与えた。マクロン大統領は19日、ベルギーのブリュッセルでの記者会見で、ゴーン容疑者の逮捕に関し「(ルノー・日産・三菱自動車)連合の安定性を非常に注視している」と語った。
主要各紙は19日、同容疑者の聴取の段階から「稲妻が走った」(フィガロ紙)などと一斉に伝えたほか、欧州市場ではルノー株が急落するなど動揺が広がった。
仏各紙は日本の報道や日産自動車の発表を引用する形で、ゴーン容疑者の所得隠しの疑いや日産が退任を要求することを詳報。フィガロ紙は「ルノー側も全く予測していなかった出来事のようだ」と指摘し、日産・ルノー連合の将来に影響を与えるとの見方を示した。
ルモンド紙は、ゴーン容疑者が会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるルノーでの報酬の高さがフランスで論争の的となってきたことにも言及し、ルノーでの会長退任が早まるかに注目した。