[ニューヨーク 21日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、米株価上昇のほか、イタリア予算案を巡り楽観的な見方が出ていることでリスク選好度が改善し、ドルが下落した。
米株式市場は今週に入ってからハイテク株を中心に売られていたが、この日は米アップル(AAPL.O)をはじめとする主要ハイテク銘柄に買い戻しが入り、相場は上昇した。
ただ、ケンブリッジ・グローバルペイメンツ(トロント)の首席市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は、株価はこの日上向いたものの、回復したように見えても実際はそうでなかったことが過去2週間で数回あったため、リスク選好はなお「極めて抑制」された状態にあるとしている。
この日発表の米経済指標では、10月の耐久財受注統計で民間設備投資の先行指標とされるコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注が前月から横ばいとなり、市場予想の0.2%増を下回った、また、17日までの週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週から3000件増加して22万4000件と、6月末以来約4カ月ぶりの高水準となった。
このほか、 全米リアルター協会(NAR)が発表した10月の米中古住宅販売戸数(季節調整済み)は年率換算で前月比1.4%増の522万戸と7カ月ぶりにプラスに転じた。ただ住宅市場の弱含みは続いており、NARの主任エコノミスト、ローレンス・ユン氏は、金利の上昇が需要を抑えているとして「連邦準備理事会(FRB)は利上げを一時中止しても良いのではないか」との見方を示している。
前出のシャモッタ氏は、米国と他の主要国との間の経済情勢の差は今後は縮小していく可能性が示されたと指摘。一連の経済指標で「トランプ政権の減税策の効果が一時的だった一方で、通商問題に関連した先行き不透明性が長期的な影響を及ぼす恐れがあるこれまでにない強い証拠が示された」と述べた。
欧州委員会はこの日、イタリアの2019年予算案がユーロ圏の財政規律に違反しているとして是正措置を求める過剰財政赤字是正手続き(EDP)を勧告。ただ、イタリアのコンテ首相がイタリア国債と独連邦債との利回り格差に対する懸念を示し、改革実施を確約したことなどで、ユーロは上昇した。
ユーロは過去7営業日のうち6営業日で上昇。ただアナリストは、イタリアに起因する政治リスクによりユーロの地合いは引き続き軟調だとしている。安全資産とされる円は下落。ドル/円JPY=D3は0.3%高の113.08円となっている。
NY午後4時 113.05/113.08
始値 113.00
高値 113.10
安値 112.87
ユーロ/ドル
NY午後4時 1.1382/1.1383
始値 1.1401
高値 1.1424
安値 1.1381