[ニューヨーク 26日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁がユーロ圏経済の失速を認めたことを受け、ユーロが対ドルで軟化した。ドラギ総裁は、ユーロ圏の経済成長は幾分失速しているものの、大半は正常な動きであり、刺激策の一段の解除に向けたECBの軌道は変わらないとの見解を表明。ECBのプラート専務理事もこの日、ユーロ圏経済は失速しており、逆風が一段と目につくようになってきたとの認識を示した。

この日はまた、ドイツのIFO経済研究所が発表した11月の業況指数が102.0と、3カ月連続で低下。ロイターがまとめたコンセンサス予想の102.3も下回り、独経済見通しに対する企業経営者の楽観的見方が後退していることが浮き彫りになった。シティ・インデックスのシニア市場アナリスト、フィオナ・シンコッタ氏は「IFO業況指数が予想より悪かったこと、さらにドラギ総裁がユーロ圏の経済指標が軟調となっていることを認めたことで、ユーロが下落した」としている。ただ朝方の取引では、イタリア政府が財政赤字目標を欧州連合(EU)の意向に沿うよう引き下げる可能性があるとの見方から、ユーロは上昇していた。

政府筋2人はこの日、イタリア連立政権がEUによる制裁発動を回避するため、2019年予算の財政赤字目標を現在の対国内総生産(GDP)比2.4%から2.0%付近に引き下げる方向で協議していることを明らかにした。

英ポンドは対ドルで横ばい。EUは25日に開催した緊急首脳会議で、英国のEU離脱案を正式承認している。世界的な経済成長が鈍化する中、米連邦準備理事会(FRB)は現在の利上げサイクルを予想より早い時期に終了させるのではないかとの見方が台頭。市場ではFRBがあと何回の利上げを実施するのか手掛かりを得ようと、28日のパウエルFRB議長の講演のほか、29日にFRBが公表する11月7─8日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が注目されている。

ウエスタン・ユニオン・ビジネス・ソリューションズ(ワシントン)のシニア市場アナリスト、ジョー・マニンボ氏は「FRBが警戒感を高めているという初期のサインを発しているように見えるため、議長講演、および議事要旨で警戒感の高まりが確認されれば、FRBは将来的に利上げペースを緩める可能性があることが示唆される」と述べた。

市場では米中通商問題も注目されている。トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は今月末からアルゼンチンで開催される20カ国・地域(G20)首脳会議に出席する際に会談を行う予定。

ドル/円
NY午後3時 113.63/113.66
始値 113.19
高値 113.64
安値 113.20

ユーロ/ドル
NY午後3時 1.1327/1.1331
始値 1.1368
高値 1.1375
安値 1.1326