• 貿易戦争や減税効果の希薄、景気の先行きを曇らせる
  • 設備投資はナンバーワンのテーマ-BofAのウー氏

2018年前半の米経済はトランプ大統領が導入した減税の恩恵を受け、設備投資を一因に力強い成長を実現したが、ここに来てその動きに失速の兆しが増えている。

関税引き上げに関連した先行き不透明感や、世界的な需要の冷え込み、借り入れコストの上昇といった企業環境に加え、原油価格の急落でエネルギーセクターは打撃を被っている。米中の貿易戦争は長期化の兆しを見せる一方、減税効果は来年に薄れると予想されている。上下両院が「ねじれ」の状態になるため、米議会が経済への追加刺激措置を講じる期待は低い。

トランプ政権は成長加速や生産性上昇を約束しているが、こうした厳しい環境の下でも米企業が将来に投資する意欲があるのかが問われる。長年伸び悩んでいた設備投資は今年初めに上向いたが、暗い見解が続き、先行きを曇らせている。企業が享受した減税の恩恵は投資よりも自社株買いや配当に向けられ、すでに好調な時期は過ぎた可能性がある。

最近ではエンジン大手のカミンズや白物家電のワールプール、建設機器のキャタピラーなどが貿易戦争に起因するコスト高を相次いで指摘している。他国を上回る経済成長を米国が続けられるのかどうか、さらには連邦公開市場委員会(FOMC)がどこまで政策金利を引き上げられるのか、ドルの価値上昇が続くのかどうかを決定する上で、設備投資の勢いは重要な要素となり得る。

バンク・オブ・アメリカ(BofA)の世界金利・外国為替戦略責任者、デービッド・ウー氏は「設備投資はナンバーワンのテーマだ」と語る。貿易戦争と、米議会が行き詰まる可能性が高いことが「設備投資、ひいては米金利とドルに関する最大の不確実性」をもたらしていると指摘した。

原題:Capital-Spending Slowdown Flashes a Warning for 2019 U.S. Growth(抜粋)