PlayUnmute0:07/1:01Loaded: 0%Progress: 0% Fullscreen【動画】日産のゴーン前会長と東京地検特捜部の対立する主張を解説

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日産自動車のカルロス・ゴーン前会長

 日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(64)が役員報酬を過少記載したとして逮捕された事件で、報酬に関する合意文書には、退任後の支払いにして隠したとされる分について「postponed compensation」(延期報酬)という趣旨の記載があったことが、関係者への取材で分かった。東京地検特捜部は、退任後の支払いを確約する証拠とみているが、前会長側は「受け取りは確定していない」と完全否定している。

 関係者によると、合意文書は秘書室幹部が作成し、ゴーン前会長が署名。「total compensation」(総報酬)とともに、内訳として「paid compensation」(支払った報酬)、「postponed compensation」(延期報酬)という趣旨の記載があり、複数の年度分について、それぞれの金額が書かれていた。

 特捜部は、司法取引した秘書室幹部の供述も踏まえ、「延期報酬」分を隠蔽(いんぺい)したとみて捜査。2010~17年度の8年間で、計約91億円分を各年度の有価証券報告書に記載しなかったという金融商品取引法違反の罪で起訴、再逮捕した。

 一方、ゴーン前会長は「総報酬」について、米国の自動車大手3社の最高経営責任者(CEO)の報酬の平均値で、秘書室幹部が算出したと説明。「支払ってもらいたい希望額として了解したという意味で署名した」と供述している。「延期報酬」分は、「将来の受け取りが確定しておらず、記載義務はない」と主張しているという。

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 東京地裁は11日、10日に再逮捕されたゴーン前会長と側近の前代表取締役グレッグ・ケリー容疑者(62)の勾留を20日まで認める決定を出した。前会長側は決定を不服として準抗告したが、棄却された。