・19日に英国の合意なき離脱に備えた新たな文書を公表-欧州委員長
・EU首脳会議:英離脱の安全策発動されても一時的なものにすぎず

欧州連合(EU)は、英EU離脱案に懐疑的な英議会の支持獲得に役立つ新たな保証を求めていたメイ英首相の要請を退け、合意なき離脱への準備を加速する方針を明示した。

EUの行政執行機関、欧州委員会のユンケル委員長は、英国の合意なき離脱に備えた新たな文書を19日に公表することを表明した。

メイ首相はブリュッセルで開かれたEU首脳会議で、EU離脱合意案の最大の懸案事項であったアイルランド国境を巡るバックストップ条項(安全策)について幾つかの追加的「保証」を望んでいた。メイ首相は直ちに突破口が開かれるとは期待していないと言明した上で、EU首脳らに自国で合意案が受け入れられやすくなるよう最善を尽くすよう訴えた。

しかし、EU首脳らはメイ首相の要求に応じる代わりに姿勢を硬化させ、バックストップ条項に「追加的な保証を付けられるかどうか検討する」という事前の声明草案の一文を削除。これを受けて英ポンドは下落した。

EUの行政執行機関、欧州委員会のユンケル委員長は「メイ首相は勇敢な闘いを導いたが、残念ながらわれわれは結果を目にしていない」と記者団に述べ、問題解決のための新たなアイデアを用意するのはメイ首相の責任だと語った。

メイ首相が英議会から離脱案への承認を得ることができなければ、約3カ月後には英国は合意のないままEUから離脱し、政治的・経済的混乱を招くことになる。あるいは、同首相が英議会から離脱案の破棄を迫られたり、2回目の国民投票を余儀なくされたりする事態に陥る恐れもある。

ただ、EU首脳らは、バックストップ条項が決して発動されないよう取り組む考えをあらためて示すとともに、発動された場合でも一時的なものにすぎないと強調。また、将来の通商合意に向けて早急に取り組むと表明した。

原題:EU Plays Hardball With May, Rejecting Pleas for Brexit Help(抜粋)