- 長期金利0%程度、短期金利マイナス0.1%の長短金利操作を維持
- 長短金利の水準を当分の間維持するフォワードガイダンスも据え置き
日本銀行は20日の金融政策決定会合で、長短金利操作付き量的・質的緩和の枠組みによる政策運営方針の維持を7対2の賛成多数で決定した。片岡剛士、原田泰両審議委員が反対した。世界経済の先行き不透明感が強まっていることを受けて、日銀は海外発のリスク要因を注視している。
長期金利の誘導目標は「0%程度」としてある程度の変動を認める方針で、国債買い入れ(保有残高の年間増加額)のめど「約80兆円」も維持。短期金利は「マイナス0.1%」に据え置いた。指数連動型上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(J-REIT)の買い入れ方針も従来通り。「当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」とのフォワードガイダンス(政策金利の指針)にも変更はなかった。
当面の金融政策運営のポイント
- 長短金利操作(賛成7反対2)
- 短期金利:日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%適用
- 長期金利:10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう国債買い入れ
- 金利は経済・物価情勢などに応じて上下にある程度変動し得る
- 保有残高の増加額年間約80兆円をめどにしつつ弾力的に買い入れ
- 資産買い入れ方針(全員一致)
- ETFとJ−REIT:保有残高がそれぞれ年間約6兆円、約900億円相当で増加するよう購入。市場の状況に応じて上下に変動し得る
- フォワードガイダンス
- 2019年10月予定の消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在の極めて低い長短金利水準の維持を想定
ブルームバーグがエコノミスト49人に行った事前調査では全員が現状維持を予想していた。午後3時半に黒田東彦総裁が定例記者会見を行う。決定会合の「主な意見」は12月28日、「議事要旨」は来年1月28日に公表する。
ブルームバーグの事前調査の結果はこちら
エコノミストの見方
みずほ証券の末広徹シニアマーケットエコノミスト:
- 当面はオペで金利を調整しながら現状維持を続ける状態が続くだろう。金利はマイナスまでついてくるかが注目だが、日銀にとってマイナスは許容しにくいだろう
- オペに関しては落ち着いてきたら減額をするだろう
明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミスト:
- 当面は現状維持を続けながらオペレーション上の調整を行うのではないか。今は株式市場が下落しており様子見状況だろうが、長期金利もだいぶ下がっており、株が戻ってくればすぐ減額はするだろう
- 最大の注目は世界経済の行方。今のところ米国は堅調だが、日銀は出口に向かえないまま追加緩和に逆戻りすることを余儀なくされる可能性もあり、ここから引き締め方向か緩和方向なのか微妙になりつつある