【北京時事】中国は23日、外国企業に技術移転を強要することを禁止する法律の制定に着手した。米国との貿易戦争の早期終結を目指し、トランプ米政権の要請に応じて知的財産権の保護を強化する。米企業だけでなく、日本企業も恩恵を受け、中国のビジネス環境改善につながりそうだ。

米高官、知財侵害には輸入制限=中国標的に新法も

 中国では、外国企業が新規に進出したり事業を拡大したりする際などに、提携先の中国企業や地方政府から技術移転を強要されるケースがあるとされる。政府高官の法案説明によると、「行政手段を用いた強制技術移転を禁じる」と明文化する。

 制定するのは「外商投資法」で、23日に全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の常務委員会で法案審議を開始。外国企業の正常な経営に対して違法な干渉をしてはならないと定めるほか、撤退時に違法な条件を設けることも禁止する。

 一方で新法は、外国企業と中国企業が交渉の上で技術協力を行うことを「奨励」。国家の安全に関する規定も盛り込まれた。従来通り、中国側が民間ベースで技術提供を要求する事態も想定され、外国企業がどこまでメリットを享受できるか不明確な部分もある。

 中国は中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の幹部がカナダで逮捕されたことに強く反発し、米国には逮捕状の取り消しを迫っている。しかし、貿易戦争の影響で中国の景気が不透明感を増す中、貿易分野では対米譲歩を続けている。(2018/12/23-21:19)