[4日 ロイター] – 米労働省が発表した2018年12月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が31万2000人増加し、2月以来10カ月ぶりの大幅増となった。市場予想の17万7000人増も大きく上回った。 

時間当たり賃金は前月比0.4%増と、前月の0.2%増から伸びが加速し、予想の0.3%増を上回った。前年同月比では3.2%増。 

市場関係者のコメントは以下の通り。 

●景気鈍化懸念和らぐ、FRBのタカ派姿勢妥当 

<ウエスタン・ユニオン・ビジネス・ソリューションズのシニア市場アナリスト、ジョー・マニンボ氏> ドルの追い風となる内容で、米景気鈍化懸念を和らげる方向にある程度働くのではないか。絶好調の内容となったことで、 米連邦準備理事会(FRB)のタカ派姿勢の妥当性が確認されるのは確かだろう。 

今年の(政策)金利水準を巡り、市場の見方とFRBの見通しにかなりの隔たりがある事実を改めて目の当たりにしている。この日の雇用統計は、追加利上げを検討するFRBの議論をある程度下支えするだろう。 

●良好な米経済の継続を明示 

<インディペンデント・アドバイザー・アライアンスの最高投資責任者(CIO)、クリス・ザッカレリ氏> 米雇用者数の増加は良好な経済が続いていることを明示した。目先的に言えば、米金融政策の維持が見込まれている中で、強過ぎる雇用統計は市場を動揺させる可能性がある。 

きょうはアトランタでパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が前任者のバーナンキ氏、イエレン氏とともに討論会に参加する。世界的な経済鈍化が見られる中で、投資家はFRBによる金融政策据え置きを求めている。一方、7日には米中貿易交渉の行方が判明する見込みだ。 

全ての条件が同じであれば、雇用統計はおそらく株価にとってネガティブだ。株価先物市場を見る限り、投資家は雇用者数を注視しておらず、7日の貿易交渉で何が起こるかにより関心を示している。FRBは重要だが、雇用者数よりも7日に何が起こるかの方が優先される。そのため、株式市場ではFRBの早過ぎる政策変更への懸念よりも貿易交渉で何が起こるかに対する楽観的な見方を反映しているのだろう。 

●好悪入り混じる、全体的には良好 

<チャールズ・シュワブのトーレディング&デリバティブズ・バイスプレジデント、ランディ・フレデリック氏> 今回の米雇用統計は結果が好悪入り混じり、いろいろな意味で興味深い内容だった。市場は受け止めに迷うだろう。 週半ばに発表された米ADP民間雇用者数はその堅調さに少し驚かされたが、今回発表された非農業部門の雇用者数はそれ以上に堅調だった。 

さらに驚きだったのが、非農業部門雇用者数が大幅増となったにもかかわらず、失業率が0.2%ポイント上昇し、昨年8月の水準に戻った点だ。 この2つの結果は幾分矛盾している。ただ全体的にはかなり良い内容だったと言えるだろう。 

●市場は成長に注目、賃金にやや過熱感 

<ウエルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティチュート(カリフォルニア州)の世界アセットアロケーション戦略部部長、トレイシー・マクミリオン氏> 12月の雇用者数は予想外に強く、過去2カ月分の雇用者数も上方修正された。労働者の増加は経済が健全であることの証しだが、それはすなわち連邦準備理事会(FRB)の利上げ継続を意味する。それにもかかわらず市場が雇用統計を好感しているということは、市場が本来気にしているのは成長だといえるのではないか。 

医療、飲食、建設などの雇用が増えたほか、生産年齢人口に占める働く意志を表明している人の割合である労働参加率も上昇した。こうした中、時間当たり賃金が前月比で0.4%伸びたことはやや景気の過熱を示している。賃金が今後も同様のペースで伸びた場合、FRBはより積極的な対応を迫られる可能性もある。