厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関で、竹内紀臣撮影

 厚生労働省が公表する「毎月勤労統計」の東京都内分が本来認められない抽出調査で行われていた問題で、不正な調査を容認するマニュアルは2003年に作成されていたことが同省関係者への取材で判明した。不正調査は翌04年に始まっており、担当部署が前年から抽出調査に切り替える準備を進めていた疑いがある。

 弁護士をメンバーに加えた同省の監察チームは17日に初会合を開く。03年に担当部署に在籍した職員から当時の状況を聞き取るなどして、不正が始まった経緯や動機の解明を進めるとみられる。

 同統計のルールでは、従業員500人以上の事業所は全て調査することになっている。問題発覚後、同統計を担当する「雇用・賃金福祉統計室」を確認したところ、「500人以上の事業所は東京都内に集中しており、全数調査でなくても精度の確保は可能」という趣旨のことが書かれたマニュアルが見つかり、03年に作成されたことを示す記述があったという。

 また、厚労省が16年10月27日付で総務省に提出した調査手法に関する書類に「500人以上の事業所については全数調査とする」と明記していたことも、総務省の資料で判明した。政府統計を所管する総務省の統計委員会の部会でも、当時の担当参事官(課長級)が「全数調査を継続する」と説明していた。04年から不正な調査を続けていながら、厚労省側は公的な場で虚偽説明をしていたことになる。【神足俊輔】