• 首相と労働党党首がどのような投票行動を指示するかが採決を左右
  • クーパー議員の案は労働党が正式に支持すれば可決の可能性が高い

メイ英首相が欧州連合(EU)離脱を巡る立場を変えようとしない中で、方針転換を求めるさまざまな修正が与野党から提案された。これらの修正には重複や相互に補完する部分もあり、29日の採決の行方は、メイ首相と最大野党・労働党のコービン党首がどのような投票行動を指示するかに左右される。

これまで提出された主な修正案の要約は次の通り。どれを採決するか下院議長が決定する。

クーパー・ボールス離脱延期案

労働党のイベット・クーパー議員と与党保守党のニコラス・ボールス議員は、無秩序な「合意なき離脱」の回避を目指し、3月29日の離脱予定日を延期せざるを得ない状況にメイ首相を追い込むことを狙う。リスボン条約50条の年末までの適用延長要請を首相に義務付ける法案の審議日程確保に向け、規則変更のための議会採決を求める修正内容だ。

この修正が可決された場合、クーパー議員とボールス議員がまとめた実際の法案が2月5日に議会で審議されることになり、同月26日までに離脱案が下院で承認されない場合、年末まで離脱を延期する要請をEUに行うことが首相に義務付けられる。合意なき離脱を回避する決意で造反に回った複数の保守党議員も修正案に署名しており、労働党が正式に支持を決めれば、可決の可能性が高い。

バックストップ廃止案

保守党のアンドルー・マリソン議員はアイルランド国境へのハードボーダー(物理的壁)の設置回避を保証する「バックストップ」条項について、期限を設定するか、廃止して「代替措置」を導入するという2つの修正案を提出した。メイ首相の支持者や保守党要人の間で支持を得ており、政府が支持する可能性を示す兆候もある。それ次第だが、可決のチャンスは中程度だ。

関税同盟残留・再国民投票で議会採決求める労働党案

労働党のコービン党首はさまざまな選択肢に関し、採決する機会を議会に与えるよう要求しているが、修正案は特にEUとの関税同盟への残留と、離脱を問う2回目の国民投票を可能にする議会採決を求めている。再国民投票を支持する保守党議員もコービン氏が署名した修正を後押しするとは考えにくいため、可決の可能性は低い。

U.K. Prime Minister Theresa May Presents Brexit Plan B to Parliament
メイ英首相撮影: Luke MacGregor/Bloomberg

原題:How the U.K. Parliament Is Trying to Seize Control of Brexit(抜粋)