アメリカがINF=中距離核ミサイル全廃条約の破棄をロシアに通告すると発表したことについて、日本政府は条約が果たしてきた役割は大きく望ましくないとしています。条約が失効した場合には、中国も含めた新たな核軍縮の枠組みづくりに向け、関係国への働きかけを強めていく方針です。

アメリカと旧ソビエトの間で1987年に調印され、冷戦の終結につながったINF=中距離核ミサイル全廃条約をめぐり、アメリカのポンペイオ国務長官は日本時間の1日夜、条約の義務の履行を停止し、ロシアに条約の破棄を正式に通告すると発表しました。

日本政府はロシアの新たな巡航ミサイルの能力が条約違反にあたるとアメリカが主張し、条約を破棄せざるをえない状況に至ったことは理解できるものの、条約が果たしてきた役割は大きく、望ましくないとしています。

河野外務大臣は1日「破棄された場合、アメリカとロシアだけでなく、中国なども含む関係国とやり取りをしながら、国際的な軍縮に資する枠組みを作っていくことに貢献していきたい」と述べました。

日本政府としては今後、状況が変わらず、条約が失効した場合には、安全保障上の影響も見極めながら、中国も含めた新たな核軍縮の枠組みづくりに向け、関係国への働きかけを強めていく方針です。