去年6月シンガポールで行われた1回目の米朝首脳会談のあとも、北朝鮮は秘密裏に核・ミサイル開発を継続しているとみられることが衛星写真の分析などから指摘されています。外交や安全保障の専門誌「ディプロマット」は去年7月、アメリカの情報機関の情報を基に衛星写真を分析したところ、北朝鮮の首都ピョンヤンの郊外に「カンソン」と呼ばれるこれまで知られていない核兵器用のウラン濃縮施設があることがわかったと伝えました。
それによりますと、カンソンは2003年ごろから稼働し、ニョンビョン(寧辺)の施設の2倍の能力があるとみられ、分析にあたった専門家は、米朝首脳会談のあとも核開発が続いていると指摘しています。
一方、アメリカのシンクタンク、CSIS=戦略国際問題研究所は、北朝鮮には公表されていない弾道ミサイルの基地が20か所あると推定しています。
CSISは今月、報告書を発表し、衛星写真の分析から「サンナムニ」と呼ばれる中距離弾道ミサイルの基地を新たに特定したことを明らかにしています。
それによりますと、基地は南北の軍事境界線から北に250キロ離れた北朝鮮の山間部に位置し、日本やアメリカ軍の拠点があるグアムを射程におさめる中距離弾道ミサイル「ムスダン」が配備され、去年12月の時点でも活発な活動が確認できたとしています。
北朝鮮は去年9月に行われた南北首脳会談で、北西部のトンチャンリ(東倉里)にあるミサイル発射場の解体のほか、アメリカが相応の措置をとればニョンビョンの核施設を閉鎖する用意があることを表明しています。
しかし専門家らは、完全な非核化を進めるうえでは、北朝鮮が公表していない施設や基地も申告や査察の対象とし、廃棄される必要があると主張しています。