[ワシントン 8日 ロイター] – 米労働省が8日発表した2月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が2万人増と市場予想の18万人増を大幅に下回るとともに、2017年9月以来約1年半ぶりの小幅な伸びにとどまった。建設や小売りなどの業種でマイナスとなった。過去の伸びの反動が出た可能性がある。統計をきっかけに米経済の失速懸念が強まる恐れもある。 

米国の景気拡大期間は今年7月で10年を超え最長を更新するが、ここにきて成長ペースは鈍化している。今回の雇用統計もその裏付けとなり、米連邦準備理事会(FRB)の利上げに対する「忍耐強い」姿勢の根拠となりそうだ。 

キャピタル・エコノミクス(ニューヨーク)のシニア米国担当エコノミスト、マイケル・ピアス氏は「雇用の急減速は米経済の伸びが第1・四半期に鈍化していることをあらためて示しており、FRBが今年利上げしないとの当社の見方を裏付けている」と述べた。 

こうした中、失業率は再び3%台に改善したほか、賃金は前年比で2009年以来約10年ぶりの大幅な伸びを記録するなど、明るい材料も見られた。昨年12月と1月を合わせた雇用者数は従来から1万2000人分上乗せされた。 

失業率は0.2%ポイント低下し3.8%に改善。1月25日まで35日間続いた政府機関の一部閉鎖で一時的に失業していた連邦政府職員が仕事に復帰したことが背景にある。閉鎖期間は過去最長だった。 

現在は職を探していないが働く用意のある人や正社員になりたいがパートタイム就業しかできない人を含む広義の失業率(U6)は7.3%と、1月に付けた11カ月ぶり高水準の8.1%から改善した。1月は政府閉鎖が影響していた。 

時間当たり賃金は前月比0.4%(11セント)増と、1月の0.1%増から加速した。2月は日数上、計算に歪みが出たことも影響した。前年同月比では3.4%増と、09年4月以来の大幅な伸びを記録。1月の3.1%から拡大した。平均週間労働時間は前月の34.5時間から34.4時間に小幅縮小した。 

学生や女性を含め労働市場に復帰する人は増える傾向にある一方で、企業は堅調なペースで採用を続けており、失業率は低い水準に抑えられている。ただ労働力の供給源は徐々に先細りしているという。生産活動に従事し得る人口に占める働く意志を表明している人の割合、いわゆる労働参加率は63.2%と、前月の約5年ぶり高水準から横ばいだった。 

業種別の雇用の内訳は、建設が3万1000人減と13年12月以来の大幅な落ち込み。1月は5万3000人増加していた。小売りは2月に6100人減、政府職員は5000人減。公益や運輸・倉庫も減少した。レジャー・接客は変わらず。前月は8万9000人増だった。製造は4000人増、前月は2万1000人増。専門職・企業サービスは4万2000人増。教育・ヘルスケアは4000人増。