- エコノミスト46人に行った事前調査では全員が現状維持を予想
- 年内の追加緩和の可能性は50%に近付いていると木内前審議委員
日本銀行は15日の金融政策決定会合後に政策運営方針を発表する。金融政策は現状維持が見込まれており、世界経済の先行き不透明感が強まる中、景気判断を下方修正するかどうかが焦点となる。日本経済は景気後退局面に突入したのか、日銀に有効な追加緩和手段は残されているのか、黒田東彦総裁が示す見解に関心が集まる。
ブルームバーグがエコノミスト46人に行った事前調査では全員が現状維持を予想した。次の政策変更は追加緩和との予想は17人(37%)と1月の前回調査(18%)から倍増した。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ停止に続き、欧州中央銀行(ECB)は7日、年内の利上げ見送りと新たな長期リファイナンスオペ(LTRO)の開始を決めた。日銀の追加緩和への期待も徐々に強まっている。
内閣府は1月の景気動向指数(一致指数)の基調判断を景気後退局面に入った可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に引き下げた。複数の関係者によると、日銀は今会合で海外経済、輸出、鉱工業生産の現状判断を下方修正するかどうか議論する見通しだ。
日銀は1月の決定会合で、海外経済は「総じてみれば着実な成長」が続いており、輸出、鉱工業生産とも「増加基調」にあるとの判断を示した。その後公表された1月の輸出は前年比8.4%減と2カ月連続で減少。日銀が算出する実質輸出も前年比5.3%減と2年ぶりの水準に落ち込んだ。特に中国向けの落ち込み(7.7%減)が目立った。同月の鉱工業生産指数は前月比3.7%低下と3カ月連続で前月を下回った。
前審議委員の木内登英野村総研エグゼクティブ・エコノミストは8日付リポートで、FRB、ECBに続き「次は日銀の追加緩和の番だ」との観測が生じているが、今会合で本格的な追加緩和が決まる可能性は「なお低い」とみる。ただ、「年内にも追加緩和を実施する可能性は50%に近付いているようにも思える」としている。
ブルームバーグの事前調査の結果はこちら
会合は従来、総じて正午から午後1時の間に終了している。黒田総裁は午後3時半に記者会見する。
注目点 | 理由 |
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景気判断の下方修正 | 1月の決定会合では、海外経済は「総じてみれば着実な成長」が続いており、輸出、鉱工業生産とも「増加基調」にあると判断 |
景気後退の可能性 | 内閣府は1月の景気動向指数(一致指数)で、基調判断を景気後退局面に入った可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に引き下げた |
追加緩和の手段 | 片岡審議委員は2%物価目標の早期達成は「金融政策だけではなかなか難しい」と言明。目標の早期達成のために「今、もっと大胆なことをやるべきだ」と述べた |
前回の決定内容
・フォワードガイダンス「当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」
・長期金利(10年物国債金利)の誘導目標は「0%程度」、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動し得る
・短期金利(日銀当座預金の一部に適用する政策金利)は「マイナス0.1%」
・長期国債買い入れ(保有残高の年間増加額)のめどは「約80兆円」
・指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れは年間約6兆円、市場の状況に応じて上下に変動し得る、不動産投資信託(J-REIT)買い入れは同900億円