来年のアメリカ大統領選挙に向けた民主党の候補者指名を目指し、オルーク前下院議員が立候補を表明しました。オルーク氏は、「オバマ前大統領の再来」とも言われ、注目されてきた若手政治家で、民主党の候補者指名争いは一段と激しさを増しそうです。

民主党のベト・オルーク氏は14日、ビデオ声明で来年、2020年の大統領選挙への立候補を表明しました。

妻のエイミーさんと並んでカメラに向かったオルーク氏は、「今回の選挙は、分断されたこの国の結束のために、私たち一人一人が持つ最高の力を引き出すことを目指す前向きなものになる」と述べたうえで、宗教や性別、貧富の格差などを超えて協力していこうと支持を訴えました。

オルーク氏は南部テキサス州のメキシコ国境の都市、エルパソ出身の46歳。下院議員を務めたあと、去年11月の中間選挙で上院議員選挙に立候補し、現職を相手に予想を上回る接戦を繰り広げて注目を集めました。融和を訴えるその切れ味鋭い弁舌から「オバマ前大統領の再来」とも言われ、その動向が注目されていました。

民主党では、来年秋の大統領選挙に向けて、これまでに10人を超える上院議員や閣僚経験者らが立候補を表明していて、注目の若手政治家の立候補表明で党内の候補者指名争いは一段と激しさを増しそうです。

46歳 注目の若手政治家

ベト・オルーク氏はニューヨークの大学を卒業後、エルパソの市議会議員を経て2012年に下院議員選挙に立候補して初当選を果たしました。オルーク氏は、下院議員の1人にすぎませんでしたが、去年11月の中間選挙で、その名が、全米に知られるようになりました。

オルーク氏はテキサス州の上院議員選挙に立候補し、共和党の現職で、2016年の大統領選挙ではトランプ大統領と最後まで指名を争ったテッド・クルーズ氏と戦いました。

テキサス州は「共和党の牙城」とされていて、当初は知名度で勝るクルーズ氏が圧勝するという見方が支配的でしたが、オルーク氏は、長身とさわやかな容姿、それに弁舌のうまさから「オバマ前大統領の再来」と呼ばれて次第に人気となり、SNSを積極的に活用した選挙運動でも支持を広げました。

結果的に、共和党支持層の厚い壁を崩すことができずに選挙には敗れましたが、得票率で2.6ポイント差まで追い上げ、一定の支持を集めたことから、次の大統領選挙に向けた民主党の指名争いの中でたびたび名前が取り上げられるようになりました。

オルーク氏は、ことし1月下旬、NHKの取材に応じ、「長い中間選挙の中ですべてを出したので充電期間は必要」とする一方で、「家族の理解が得られればこの分断した社会のために何らかの貢献をしたいと考えている」と述べて、前向きに検討していることを明らかにしていました。