市場の動きは鈍く、眠くなりそうだ。このような相場が実は、平穏が続くと見込む投資家を陥れることになるとの懸念がウォール街で膨らんでいる。
だが、市場の中でも最も退屈と言える米国債のボラティリティーが記録的に低いのは完全に理にかなっていると、TD証券は主張する。債券利回りの変動はこのところ、ごくわずかな幅にとどまっている。
TD証券の米金利ストラテジスト、ウェン・ルー氏は「現在のインプライド・ボラティリティー(IV)はあまり高くない。スワップションの変動はしばらく低い状態が続くことを示唆している可能性がある」と述べ、1カ月物と10年物のスワップションIVが低下していることを指摘した。スワップションはスワップ取引を行うことができる権利を売買するオプション取引。
TDは米金融当局のハト派傾斜により「日本化の効果」が生まれているとして、米国債の実現ボラティリティーに中立を維持する。買い手も売り手も同様に取引する意欲がなく、IVの乏しい変動に寄与していると、ルー氏は語った。
「マクロ系やプログラム売買の投資家はボラティリティーが上昇すれば積極的に売る構えを示している。このような状況でアウトライトショートは妙味が薄く、ロングも難しい」とルー氏は付け加えた。
原題:‘Japanification Effect’ Means Treasuries Should Be This Sleepy(抜粋)