見送りに出た際、中国の習近平国家主席(左から2人目)と言葉を交わすフランスのエマニュエル・マクロン大統領。一番右はブリジッド夫人=26日、仏パリのエリゼ大統領宮殿(AP)
見送りに出た際、中国の習近平国家主席(左から2人目)と言葉を交わすフランスのエマニュエル・マクロン大統領。一番右はブリジッド夫人=26日、仏パリのエリゼ大統領宮殿(AP)

 【北京=西見由章】中国の習近平国家主席は27日、イタリア、モナコ、フランスの欧州3カ国への歴訪を終えて帰国した。巨大経済圏構想「一帯一路」についてイタリアと先進7カ国(G7)で初となる覚書を交わすなど、習指導部は「中欧関係の発展に新たな推進力を注入した」(耿爽外務省報道官)と成果をアピールする。ただイタリアの対中傾斜で欧州連合(EU)内部の警戒感はさらに高まり、人権問題をめぐる溝も埋まっていない。

 米国との貿易摩擦が長期化する中、習指導部は巨額投資と巨大市場の開放をテコにEUとの関係強化を図っているが、期待したほど一帯一路への支持は拡大できていないのが現状だ。

 中国共産党は27日、収賄容疑で調査していた国際刑事警察機構(ICPO、本部・仏リヨン)前総裁の孟宏偉前公安省次官を党籍剥奪処分にしたと発表した。同事件をめぐってはフランスにとどまる孟氏の妻がマクロン仏大統領に、中仏首脳会談で待遇改善を提起するよう求める書簡を送付。訪仏後まで処分の発表を遅らせたのは、事件に注目が集まるのを避ける狙いがあったようだ。