退位・即位

皇位継承に伴う主な儀式や行事の日程です。

4月30日、午後5時から、憲政史上初めて天皇陛下の退位の儀式「退位礼正殿の儀」が皇居 宮殿の「松の間」で行われます。

翌5月1日には、
▽午前10時半から皇居 宮殿の「松の間」で、歴代天皇に伝わる剣やまが玉などを新天皇が受け継ぐ「剣璽等承継の儀」が、
▽午前11時10分から新天皇が即位後初めて国民の代表に会う「即位後朝見の儀」が、行われます。

10月22日には新天皇が即位を内外に宣言する「即位礼正殿の儀」とパレードにあたる「祝賀御列の儀」が行われます。パレードではトヨタ自動車のセンチュリーが使用されます。

翌23日には総理大臣夫妻の主催で、「即位礼正殿の儀」に参列した外国の要人などをもてなす晩さん会が開かれます。さらに、祝宴にあたる「饗宴の儀」があわせて4回行われます。10月22日と25日は着席形式、29日と31日は立食形式です。

11月には、国民の安寧などを祈る一世に一度の伝統儀式「大嘗祭」が皇室行事として行われます。

来年4月19日には、秋篠宮さまが皇位継承順位1位を意味する「皇嗣」になられたことを内外に知らしめる「立皇嗣の礼」が行われます。

皇位継承めぐり指摘も

今回の皇位継承をめぐっては、学識経験者などから、課題も指摘されています。

《決定前の天皇への連絡は憲法上問題か》
まず、新しい元号を政府が天皇陛下や新天皇となられる皇太子さまに連絡するタイミングです。

一部の憲法学者は「政府が閣議決定する前に天皇陛下にお伝えするのは、天皇が元号の制定に関係したかのような印象を与え、国民主権という現行憲法の趣旨に反する」と指摘します。

また新天皇となる皇太子さまへの事前の連絡については「自制したほうがいい」という指摘もあります。

一方、「決定直前の報告であれば国政に影響力を及ぼしたとまでは言えない」として、新元号の決定直前であれば、天皇陛下や皇太子さまに事前にお伝えすることは憲法上問題ないとする憲法学者もいます。

関係者によりますと、平成への代替わりの際には、当時の小渕官房長官による公式発表よりも前に天皇陛下に伝えられていたということです。

政府内には、今回、天皇陛下と皇太子さまが報道で知ることは避けるべきで、事前連絡が必要だという意見がありました。
政府関係者は「表に出すべき性格のものではない」と話していて、事前に連絡したかどうか公式には明らかにしないものとみられます。

《秋篠宮さまの問題提起》
皇位継承に伴う伝統儀式「大嘗祭」について、秋篠宮さまは、憲法の政教分離の観点から天皇の生活費などにあてられる予算の「内廷費」から費用を支出し、その範囲で儀式を行うべきだという考えを示されました。

政府は前例を踏襲し、「大嘗祭」を国事行為とはしないものの、極めて重要な伝統的皇位継承儀式だとして、皇室の公的な予算にあたる「宮廷費」からの支出を決めていただけに、秋篠宮さまの発言は政府内でも衝撃をもって受け止められました。

有識者などからは、皇族は天皇に準ずる存在だとして、秋篠宮さまの発言が天皇の国政への関与を禁じた憲法4条に抵触しかねないという指摘も出されています。

政府は「あくまで殿下ご自身の個人としてのお考えを述べられたもので、国政に影響を与えるものではなく、憲法上の問題は生じない」としています。

《天皇と上皇「権威の二重性」は》
皇太子さまの即位に伴い、憲法で定める国事行為として行われる5つの儀式に、政府は上皇になられる天皇陛下にはご出席いただかない方向で検討を進めています。

背景には、天皇と上皇が並び立つことになれば権威の二重性の問題が生じるおそれがあるほか、天皇陛下の意思に基づく譲位と受け取られかねない状況は、天皇の国政への関与を禁じた憲法4条との関係で避ける必要があるという判断があるものとみられます。

権威の二重性をめぐる問題は政府の有識者会議でも議論になり、会議がまとめた最終報告では、二重性の弊害が生じるかどうかは退位後の上皇がどのようなご活動をされるかによるところが大きいと指摘しました。

政教分離めぐり憲法論争 裁判も

現行憲法のもと、初めての前回、平成への代替わりでは、伝統的な儀式と、憲法の「政教分離の原則」との整合性をどうとるかという問題をめぐり、保守系と革新系の人たちで激しい論争が交わされました。

一連の儀式のうち政府が特に苦慮したのが、
▽新天皇が三種の神器などを引き継ぐ「剣璽等承継の儀」、
▽昭和天皇の葬儀にあたる「大喪の礼」、
▽新天皇が即位にあたって国民の安寧などを祈る儀式「大嘗祭」でした。

「剣璽等承継の儀」は昭和天皇が亡くなられた1989年1月7日、憲法で定める国事行為として行われました。
神器を継承する宗教色の強い儀式だという指摘も踏まえ、神器に加えて、国事行為で使う国璽・御璽も含めて受け継ぐ形式が取られたほか、伝統的な装束ではなくモーニングを着用するなど宗教色を薄めて行われました。

「大喪の礼」も現行憲法のもと初めての天皇の崩御とあって、どのように行うのか国会などで論争になりました。
検討の結果、政府は、伝統的方式にのっとり皇室として崩御を悼む「葬場殿の儀」と、国民が昭和天皇を悼むために国事行為として行う「大喪の礼」を区別し、2月24日にリレー方式で行いました。

とりわけ大きな議論となったのが「大嘗祭」でした。
一部の学者や市民グループは「大嘗祭は神道に基づく宗教的儀式で政府が関わるのは信仰を助長することになり、政教分離を定めた憲法に違反する」と主張しました。

有識者から意見を聴くなど、政府内で慎重に検討が行われた結果、大嘗祭を国事行為ではなく皇室の行事とする一方、極めて重要な伝統的皇位継承儀式だとして、費用は皇室の公的な予算にあたる「宮廷費」から支出されることになりました。

こうした政府の対応は政教分離の原則に反し憲法違反だとして、各地で裁判が起こされましたが、いずれの裁判も最終的に国などが勝訴しました。

このほか、新天皇が即位を内外に宣言する儀式「即位礼正殿の儀」についても、従来は総理大臣が一段低い庭に下りて万歳三唱の発声を行ってきました。

しかし、平成の代替わりでは憲法の国民主権の原則を踏まえ、当時の海部総理大臣が新天皇と同じ宮殿 松の間で発声する形が取られるなど、儀式の次第が慎重に検討されました。